35th AnniversaryTHE CONVOY SHOW vol.41「コンボ・イ・ランド」
コンボイって?
コンボイがどういった団体なのかについてはwiki参照そして一見にしかず。
観に行った理由は今一番観たい役者本田礼生に端を発する。これについてはまだ感情が整理できてないので追々書くけども、ともかく彼が2016年から参加している団体で、普段参加している2.5次元とも、小劇場を主戦場とする劇団とも違う、かといってミュージカルでもないようだしとりあえずめちゃめちゃ踊れるミドルに若造が鍛えてもらってる印象。YouTubeにいくつか動画は上がってたけどいまいち要領を得ず.5現場じゃ常に上の上でダンスうまい本田礼生が下の中レベルに見える位周りがうまいことだけわかる。そもそも基礎になってるジャンルが全然違くておそらくジャズダンスとタップがメイン、他の若手も10年はやってるんだろうなっていう経験値の違い。あとは拍の取り方の癖が噛み合ってないのか、とにかくなんかしっくりこない。
この時点だと「まぁ次回公演が決まって気が乗ったら行けばいっか」位に思っていた。その後エーステ夏単で本田礼生(というか本田礼生が演る斑鳩三角)に完全にハマってしまい、じいちゃんの声がコンボイ主宰の今村ねずみさんであること、そのキャスティングについて本田礼生がエーステ演出の松崎史也さんに事あるごとに篤く御礼申し上げてる事なんかを知って「これは行かないと…」と思い始める。(自分が行ったエーステフィルコレ夏組コメンタリー回でも名前出さずに言ってた)
ちなみにねずみさん自体はACCA(配信)とPSYCHO-PASS(配信)で観てたけど独特な雰囲気の人だな、位の印象。刀ステなんかだと普段.5に出ないミドルの役者さんもいるけど若者=付喪神、それ以外=人間なのもあって.5の演技にしないことで付喪神の人外感を出す意図を感じるけどねずみさんは.5の癖をわかっててある程度合わせつつ別のアプローチで只者じゃない雰囲気を出してくる。2作品共役柄が黒幕だったり異常者だったり王道ではない人物なので狙いはわかるけどちょーーっとはまってない印象だった。(ACCAはもっと美形キャラだと勝手に思ってた、PSYCHO-PASSはそもそもアニメ1話で挫折してるので受け手の問題)多分生で観てたら歌の上手さでそこが補強されてバチっとハマってたんじゃないかしらと今なら思う…ねずみさんの歌の上手さは映像に乗らないタイプ…
ラブファントム
そんなこんなで待ちに待ったコンボイの新作公演が決定したのでちょこっとリサーチしてみるとコンボイはM1で全力でラブファントム(B’z)を全員で踊るのがお約束らしい、なんじゃらほい。
しかし席に着いてふと気づくそういえばこれって周年(35年‼︎)じゃん?こんなにわかが観て大丈夫?人生最悪の観劇体験である某劇団の10回記念公演を思い出す、正に走馬灯。(現パートナーとの実質初デートだった、未だに新鮮に最悪な気持ちになって語り合うので苦難が絆を深めるのは本当)もちろんそれはその劇団がやばやばだったのが第一の理由だけども過去公演のパッチワークの場合35年分の全身全霊全速力に置いてけぼりくったりするのでは???
ここでブル転、謎の詠唱が始まる。(そういえばラブファントムってそうなんだよね、噂は本当だったか、どうしよう楽しめる自信がなくなってきた…)ここで明転、総勢14名の姿が見える、今時そう見ない決め決めの黒シャツに黒の柄入りスーツ、本田礼生センターじゃん‼︎‼︎そんで振り付けも踊りもすごい決め決めというかバブリー‼︎(武富士のCMを思い出してほしい、大体あれ)はい既に楽しい、不安が吹っ飛ぶ、にこにこしちゃう。
しかしここで予期せぬ事態がおこる、開始30秒程だろうか、全員パート→オリメンパートの後1人下手面に飛び出して短いソロパートを任された人がいた。180センチ半ば位のようだけど手足がすこぶる長い上に伸び伸びと踊るのでもっと大きく見えるし、しなりがすごい。腕を伸ばす時腰から動いていることが目視でわかる。カールのかかったうざったい髪を振り乱す姿がセクシー。男性バレエダンサーを獣と表すのがよくわからなかったけど理解った、あれが美しい獣と言われるやつ、しなやかな筋肉ってそれだけで美しいのにそれを自在に扱ってる様が人間離れしていて目が離せなくなる。その後全員パート、本田礼生がセンターなのは後ろに下げるには人気がありすぎるけどサイドに置くと踊りの甘さが目立つからかなーとか失礼な事を考える。止めが甘いのを顔で補ってる、ちょいオラついた不敵な笑みを大盤振る舞いしてくる、顔(表情)良すぎか…この表情筋くらい全身使えるようになったらどうなっちゃうんだろう伸び代こわい。ここでプチパニックを起こす。一応私は本田礼生を観に来ていてーーこの「観に来た」は「他にピンと来る人がいないときは全体か本田礼生を観れば良いから全然楽しめないってことはないし行くか、と思って来た」の「観に来た」であって治安悪バンギャがよくやる目当ての盤以外はしゃがんで携帯見てる的なやつではないのであしからずーーコンボイを楽しみに来たのにいきなり美しい獣にかっさらわれたし本田礼生もやたら押し出されていて私の中心視はたった2°しかないのにどうなっちゃうの⁇困っちゃう‼︎
Def Techは讃美歌
シーンは飛んでお芝居パートがありアトムパートがあり、どうやら過去公演の1シーンとダンスパートが切り出されて周年アレンジした形でリレーされてく構成っぽいことがわかる。次々と衣装替えがあるので若者達は4人位で代わる代わる出てくるため1人1人しっかり観れる。獣の彼と本田礼生が同時に出てくるシーンが少なくて助かった。オリジナルの公演を知っていた方がもちろん楽しめるだろうけど知らなくても今回用に話が繋がってるので困らないしお芝居パートで本田礼生が重宝されてるので嬉しい、推しが推されてるの大好き。
突然ですが本田礼生の好きなところを発表します、歌声が澄んでて多幸感のあるところ。ソロで歌っていかにもうまい、かっこいい、うまい風に歌うのが上手、っていうタイプでは全然ない。高めでやや細い感じなんだけどもハモった時に映える伸びの良い声。(エーステで三角を聞き分けられるとこ、そうでもないとこの差がはっきりあるので歌いながらの声の芝居をコントロールする能力が高いんじゃ?と思ってる、声真似も上手いし耳が良い)asiapanからの1シーン、ゲストハウスのバイト君4人がDef TechのMy Wayを歌う、一番上のパートが本田礼生。いい大人が異国に自分探しに来て、スコールの後で光差す遺跡群を観ているシーンなのも相まって自分の贔屓目で天使に見えるのか実際精霊的なものとして演出してるのかわからない。この声で聞くとMy Wayはもうなんかすごい良い曲な気がしてくる、「今日はめでたし でも明日からまた新しい日が始まる」とか歌われてしまったら嫌でも「こうやって劇場に来るために明日も働こ、がんばろ」ってなってしまうし実際このシーンの歌声が忘れられなくて翌々日当日券おかわりした、そのために働いてることがわかってしまったので。
タップ(推し推されタイム)
今までタップってディズニーシーのビッグバンドビートくらいしか見たことがなく、あれは全員高レベルな結果逆にすごさがわからない良い例だと思う。美味しい物しか食べたことないと美味しさはわからないし、不味いものだけでもそうで、偏差値40~60位は押さえておいた方が見方がわかってぐぐっと楽しめるようになる、というのが持論なのだけどコンボイにおける本田礼生のタップスキルは30だった。といっても悪目立ちしたり素人が観てわかるようなステップの踏めてなさとかは全然なくて、手まで意識がいってないなとか上半身が硬いとか、他の人が平然とやってることって経験値によるものであることを理解する助けになっていて興味深かった。ステップだけは死守すること、肩の力を抜くこと、手先までかっこよくさばくこと、人によってやってるレベル感が違うのが見えるようになるのは楽しい。自分がやってみるのが一番すごさがわかるのは知ってるけども、5年でここまでできる本田礼生運動神経と努力の権化じゃん…てなるだけなのでやらない。
壮観の全員タップパートで1人ずつステップを決めてくシーン、本田礼生だけブレイクダンスやってて公然みそっかすじゃん、と笑ってしまった。かっこつける所は得意なもので勝負させてくれる計らいがあまりにも粋で、推しが大事にされてて嬉しい。タップはひよっこだけど、みんながタップやってた時こいつは別のことを頑張ってたからちょっと合流が遅れてるだけなんだよっていう優しさ。それまで培ってきたものを捨てさせないコンボイの懐の広さよ…。対談でオーディションの時のことを語っているのだけどこれ見よがしに可愛がられていてビジネスでもうれしいなと思っていたけどこれはほんとに可愛がられてますね。 懐の広さ、とは違うかもだけど日替わりパートで本田礼生いじりがあり、完全に三角の名前出してたしなんならじいちゃんが降臨していた。ただの中の人ネタ、ではあるし他現場だったらちょっと白けてしまうんだけど本田礼生に釣られて来ている人間をわざわざ出迎えるようなことをしてくれるんだと思ってだいぶ緊張がほぐれた。内輪ネタにも良い効能があるっぽい。
洗濯されたJpop達
Def Techのところで「もうなんかすごい良い曲な気がしてくる」の書いたのだけどそれって「本当は良い曲じゃない」のかというとちょっと違う。そもそも嗜好にあるのは好き嫌いであって良し悪しじゃないのだけど正直、ここだけの話、こっそり白状すると元々ちょっと好き。CD買ったりサブスクで検索して聞いたりはしないけど耳に入るとしばらく脳内リピートする程度。で、コンボイショウで使われる曲は全然知らないか知ってるけどあんまり好んで聞く曲ではなかった。
自分は天邪鬼なのでザ・Jpopを通ってこなかった。自分のためのものじゃないって気持ちが少なからずあったからだと思う。そういうものを好きというのは片想いっぽくて避けたくなる。陽キャのもの、おじさんのもの、おしゃれな人のもの。だから純粋に曲としては好きでもアーティストの持つ文脈やファンの特性を度外視することが難しくて好きと認められないことがたくさんある。本田礼生だって今はジャンル的には若手イケメン俳優(最低な表現だ)で、コンボイにいれば本田礼生はつまんない若くて顔が良いきれいなだけの役者で終わることはないと思えたのも今回観て明るい気持ちになった一因だった。この話は長くて面倒なのでまた別でします。
脱線したけども、spotifyでプレイリストを作ってる方がいたので観劇後からずっと聞いてる、各楽曲のオリジナル版を聞いてはーいい曲ーってなるかってとあんまならない。けど、聞いてる間ずっと気分が上がる。桑田佳祐etcに特徴的な母音があいまいな歌唱をかなり苦手としていてずっと避けてきたにもかかわらず。曲を聴くとシーンを思い出す、照明を思い出す、劇場で聞いた声が思い出せる。聞いてるのはオリジナル版だけど(コンボイライブ盤出してほしい、権利関係で難しそうだけど)記憶再生装置として機能している。曲と文脈の切り分けの難しさについては上述した通りだけど曲とオリジナル版の演奏も難しい。中途半端な物真似で誰も喜ばないカバーのなんと多いことか。それがコンボイの場合は曲・振付・演技全部でシーンを作るのでシーンが主で曲が従というか、単純に歌めちゃ上手い人が歌うとどんな曲も琴線に触れちゃうのかもしれない。その結果元の文脈とかどうでもよくなって呪いが解ける。
呪い、と言えば私にとってBUMP OF CHICKENはかなり鬼門だ。世代的にみんな通る道だったけど人格形成期の暗黒時代に聞いていたバンドなので聞くと前世の記憶が脳みそからあふれ出して呪われた左目がうずき出しかねない。1回目見たときはBUMPの曲と知らなかったのだけど2回目行ったとき「あ、BUMP」思ったら本田礼生がセンターの階段を下りてきて歌いだす、前世の推しと現世の推しが邂逅しちゃったよ…と意味の分からないテンションになって大変だった。自分でも何が大変なのかわからない。15年以上前に聞いてたバンドの最近の曲を聴くと「お互い大人になったし、大人になれたんだな」と思いますね。
時事パートの苦手さと押し流す良さ?
周年かつ今年唯一の公演だったので、時事ネタがそれなりにあり、COVID-19と運動会の話が出てくる。反射的にウッとなるセリフもいくつかあり、ダサコロナソングにされてるエド・シーランに苦笑いした。でもまぁなんだろう、最終的に良い声でド面向いて励まされてサクッと次のシーンに行って持ち越さないのとか運動会っぽい。分かりにくい皮肉だったんだろうか…
今後本公演で芝居パートをがっつり観る場合はハードル下げた方が良いかも、ということは留意したい。そんで最終的にはライブパート満喫して楽しく帰れると信じたい。ハッピーなアレンジのラブリー(大橋トリオ)を全員で歌って踊られたら「天使にラブ・ソングを…」のラストシーン位にオキシトシンがだばだばになる、これは間違いない。
しなやかな身体博覧会
YouTubeに上がってる動画いくつか観るとわかるけど、技量と関係ない自由さがある。揃わないというより各々が「俺これがカッケーと思うんす‼︎」てやってる感じ、揃ってなんぼのとこはちゃんと揃う。なのでその時々で自分のグルーヴに合った人に目が行く。ちなみに調べたら獣の彼(山野光)は19歳でした、末恐ろしい。ソロパート貰ってる時点で中堅だろうしルックスで絶対本田礼生より上だと思ってた、10代の色気じゃないよ〜。調べたらMJリスペクトらしくて納得した。若くて多少無茶な使い方しても平気だからできる踊りだと思うので今後の変化も含めて楽しみ。
本田礼生の踊りについては1回目より2回目の方が断然良くて、調べたら2公演日ソワレ→1公演日ソワレでした、そうだよね体力無限じゃないもんね、学んだ。 結局本田礼生の話ばかりになっているので一つ言い訳、みんな踊ると宣材写真の5倍増しで輝くせいで全然名前が把握できない。宣材も輝いて。物凄く雑な三角の物真似してた子、誰。
初コンボイどうだったん
最高、次回公演はよ~~~!!!
例えば超人的な言語化能力があったとしても、言葉では舞台上にあった素晴らしさは伝わらない。こぼれた分の沢山の良さを確認するために観てください。
おまけ:より鮮度の高い叫び

