2020.12.06(1-p.365)

退勤後に奥さんと待ち合わせの約束だったが、映画が始まる五分前になっても返事がない。ようやく連絡がついて現地集合となり、わたわたと走ってくる奥さんと映画館の前で出くわした。漫画喫茶で寝落ちていたとのこと。かわいい。

そのまま慌てすぎることもなく開演時間に余裕でチケットは取れて、予告編の途中から席につくと、埋まり方としては一割くらいだろうか、21時前の回で、夜の街への忌避というのはこうも強いのだろうか、それとも単に前評判が芳しくないのだろうか、きのうの『羅小黒戦記』はほとんど満席で、それはシネマシティの力もあるだろうが、そのギャップに面白がった。でも確かにシネマシティも夜の回は予約ページを見る限りかなり余裕だった気もする。やはり夜への怖さなのか、しかしなぜ夜だけなのか、わからない。映画はニトクリスが可愛かった。

帰ると町はすっかり静まっていて、夜ご飯を食べるところがない。ほうぼうを回ったがこの町は街灯が少なかったのだな、あれは全てどこか店の灯りだったのだ、と知れる暗さで、諦めて家で昨晩のシチューの残りを食べた。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。