2022.03.18

柿の種を久しぶりに食べて、何気なく個包装の裏側を見やると「こばなしのたね」とある。あれ、「けなげ組」だったけ、「いやげ組」だったっけ、あれは終わってしまったのか。小学生から高校生にかけて、つまり実家ではよく食べていたおやつ、柿の種。柿の種といえば、そうだった、「けなげ組」だったな、毎回ちゃんと真面目に読んでいたものだった。検索するとやはりもう裏側は「こばなしのたね」に交代らしい。けれど歴々の「けなげ組」がアーカイブされている。(https://www.e-kakinotane.com/kenage/)「スシの緑のビニール」とか「ちびたエンピ」とか、覚えてるな。「ストローの紙袋」とか「消しゴム」の勢いが好きだった。「ペーパーフィルター」は初めて見た気がする。これもいい。懐かしいな、ありありと覚えている。先週のことも思い出せないのに、実家のテーブルで柿の種を一袋むしゃむしゃやってるときの情景ははっきりと思い出せる。リビングに射す光の具合とか、ピーナッツをあえて選り分けておいて最後に塊で食べてたとか、柿の種が奥歯の凹みに噛み固められて取るのがたいへんだとか、そういうことなら思い出せる。

雨靴を買って以来、用事のあるときにがっつり降っているのは初めてだ。ようやく活躍する雨靴が嬉しくて、わざわざ帰り道の水溜りを全部踏み荒らして帰った。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。