休日も早起きすると嬉しいのは午前中が持て余すほどあることだ。奥さんとふざけて過ごす。昼前には銀座に出かけて、椿サロンでパンケーキを食べる。しょっぱいやつ。奥さんはボロネーゼ、僕はじゃがいも。毎回サラダのにんじんドレッシングがおいしい。壁紙が和紙っぽいのとか、ところどころにアーチを潜ませる感じとか、内装がずいぶん好みであることに改めて気がつく。ふわふわのパンケーキは毎度懲りずに侮るが、しっかりお腹に溜まるし中で増える感じすらあるから満足だった。マリオンの上階にあるプラネタリウムを見に行って、オープニングの映像のセンスがラッセンだった。CG を使った幻想というのはどうしたってこうなってしまうものなのだろうか。チームラボにも通じる、ドンキのアクアリウム的美意識、あるいはその不在。生演奏でベートーベンを聴きながら偽物の星空を眺めるという企画で、星空をぼんやり眺められるのは良かったが、湖畔から向こうの山を望むような映像はいまいちで、目を瞑っていたらたぶんすこし寝た。プラネタリウムって好きだな。すこし散歩して、奥さんはライブに行くので解散する。
蛙坂さんが上野で花見をするというので合流する。ちっとも咲いていやしないのにすごい人出で歩くのに難儀する。久しぶりに暖かくていい天気だもんね、そりゃ土から虫が這い出すように皆うきうきやって来る。日が暮れて落ち着くまではてきとうに飲もうとアメ横のやきとん屋さんの軒先でだらだらやる。野外で飲むのが気持ちよさそうだというだけで、そもそもまだ蕾も固そうなのだからこれでじゅうぶん満足だった。それでも律儀に不忍池にシートを敷いて飲み直す。インターネット黎明期のコミュニティの話は面白くて、読書メーターが出会いの場だったことなど想像の外だった。ほんの数年のズレで、人と人とが知り合う回路というのはまったく様変わりしているのだろう。どこでどう出会ったかという話がそれだけで隔世の感をもよおす挿話めく。いま、偶発的な同好の士との出会いがそそのかされる悪所とはどこにあるのだろう。僕はもっとまだ知らない友達を増やしたい。出不精だから複数回の会合を重ねるというのがなかなか難しいのだが、それでも少しずつこの数年で顔見知りは増えてきた気がする。
上野駅を定刻に通過する電車の五号車に乗っている奥さんと合流するためにホームで待ち構えて、約束した車両でちゃんと会える。家に帰ってシャワーを浴びて、洗濯物まで済ませてしまう。