2024.08.14

新居は蜘蛛が多い。見分けはつかないからまとめてアダンソンと呼んで親しんでいるのだが、数が多すぎる気もする。大小さまざま、いろいろいる。巣というか、繁殖場があるとしか思えないのだが、心当たりを検めても判然としない。猫を飼いたくて戸建てに越したわけだが、先に蜘蛛を養うことになった。蜘蛛は勝手にぶらさがっているだけであるが。アダンソンは糸を紡いで巣を張らない種らしいし、おおむね益虫のようだからほっとくのだけれど、あまりに繁栄するようなら手を打つ必要があるかもしれない。

蓋つきのゴミ箱を庭に置くようにしてから、生ごみの匂いが気にならなくなるのでとても快適なのだが、庭に出るたびに小さな羽虫が入ってきてしまうようでもある。こういうのこそアダンソンたちに食べてもらいたい。縁側の雑草に黒くてオレンジの斑点がある幼虫が寄宿していて、すでに葉は食べ尽くしているくせに別の草に移らないから気がかりだ。それだけの量では足りないのではないか。こいつらはいちどこれと決めたら一途らしいときいた。ぶじ蛹になって孵化して欲しいと思うけれど、調べてみたら蝶ではなく蛾で、しかも蛹になる前の幼虫はいま目の前のやつの何倍もぶくぶく太るようだから、あまり期待できないのかもしれなかった。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。