2024.09.05

九時くらいに起きる。おいしいパンで朝食。十三時過ぎくらいまで集中して、四ポモドーロだか五ポモドーロでゲラ作業。先月郵送して紙でもらっていたものに赤をどんどん入れていく。締め切りがふわっとしているのに甘えて、ずいぶん時間をかけてしまった。ようやく仕上げ、同封いただいていたレターパックに封をする。気分転換に読みかけだった関良基『江戸の憲法構想』を読み終え、『STATUS AND CULTURE』をちらっと味見。一ポモドーロで書評原稿の清書と納品。夕方になって、ぼちぼち家を出る。

電車の中では柳沢英輔『ベトナムの大地にゴングが響く』を読んで、これもまた面白い。十六時からは放送が始まっているので、読みながらJ-WAVE「GRAND MARQUEE」を聴いていた。これからちらっと出る番組を聴きながらスタジオに向かうというのは変な感じだ。FIST BUMPという、十分くらいのテレフォンショッキングみたいなコーナーがあって、一昨日は小野寺さん、昨日は友田さんと繋がれてきたバトンを僕に回してもらえた。「H.A.Bノ冊子」メンバーの流れであり、僕も次にどのように繋ぐか楽しみだったのだけれど、週ごとに仕切り直しとのこと。残念。十八時一〇分ごろから十分くらいお話をする予定で、十分しかないのか、と思う。ポイエティークRADIO はもちろん、文化系トークラジオLife でも、何時間もかけてだらだら考えながら喋るというのに慣れきっていて、タイトなタイムスケジュールにぴったり合わせていくというのはけっこう緊張するものかもしれなかった。『ベトナムの大地にゴングが響く』も読み終えてしまって、いつの間にかただ楽しい気持ちで番組を聴いていた。せっかくだったらとメールも送ってみて、けれども常連のリスナーの方々のレベルが高くて読まれるとは初めから思っていなかった。それでもどきどきするもので、お便りを出すとラジオというのはより楽しいのだな、とわかる。待ち合わせは十七時五〇分で、六本木ヒルズのインフォメーション脇のスタバで拾ってもらい、三十三階まで上がっていく。オフィス用のエレベーターでもぎゅんっと上がるのは変わらず、耳がいーってなる。五分くらいで請求書に振込先などを書いて、簡単な台本を渡されたのにざっとメモを書き込む。それから五分ほどぼーっとスタジオに併設されたオフィスやミーティングスペースの様子を眺め、これが業界かあ、と面白い。呼ばれ、スタッフルームにご挨拶。その奥がスタジオで、なんだか格好いい音楽が流れている。Twitterを見るとRyotaさんが「こんなぶち上げEDMのあとに柿内さんが!?」と書いてくれていて笑う。CMのあいまにスタジオに招かれ、友人がこんなことツイートしてましたよ、と紹介する。着ていったfuzkue のTシャツに構成の方が反応してくださって、思わぬご縁に驚いているうちにコーナーが始まる。とにかく尺も短いし、と相手の質問に重ねるように話し出してしまうというのは、僕にとってラジオといえばLife みたいになっていることによる弊害でもあるかもしれない。ちゃんと一拍あけて喋った方が落ち着きがあってよかった。とにかく今日は『『ベイブ』論』のアピールをするぞという強い気持ちがあったので、しっかりお話しできてよかった。冒頭で文章をいつから書き始めたのかという話題があり、じつはあまり話してこなかったような気もするテーマだ。話し出したら思い出すもので、自分でも、へえ、と思いながら話していた。ホストのお二人の手腕で安心しきってへらへら喋ってたら一瞬だった。タカノさん、セレイナさんともっとお話ししてみたくなる、すてきな時間で、おかげさまで最高の「夏の思い出」ができました。コーナーが終わるとそのままブースで記念撮影。お礼を言ってさくっと辞去。十分の待ち合わせと移動そして庶務、五分の打ち合わせと五分の待機、それで十分放送して、二分で解散。すごいスピード感で、あっけなさに驚いてしまう。緊張する暇もない。ただただお喋り楽しい〜という気持ちだけが盛り上がっていて、喋り足りない。

恵比寿のバーで速水さんがゆるいイベントを企画しているというので、ふらっと寄る。工藤さんもいらして、安心。カウンターで隣り合った方や、紹介していただいた方々と調子よく話しながら軽く飲んで、喋って、お喋り楽しい〜という気持ちを満足させる。二十一時ごろには帰りの電車に向かって歩き出し、腹ペコで帰宅。お茶漬けを食べて、お風呂。空腹なところに急に食べるとお腹が張ってガスっぽくなるのはなんでなんだろう。寝るまでごきげんで、きょうは楽しかったよ、と奥さんに話しかけていた。奥さんも番組を聴いてくれていて、あなたの出番の前に格好いい音楽が鳴っていて、すこし押していたのもあってチャンネル間違えたのかと思ったよ、とのことだった。キュッとまとまっていたね、とも言ってもらえて、それは単純に十分しかないからなのだが、僕はキュッとまとめることもできるのだなと勘違いしそうになるが、それはMCのお二人の能力であって、僕はやっぱり楽しい〜としか考えていなかった。許されるのであれば、無限に喋っていたい。このようにとにかく楽しくお喋りできたのも、友田さんに「とてもごきげんな人です」と紹介してもらえたからだと思う。昨日の放送でこの紹介のされ方を聴いた時、なんて嬉しいんだろうと思い、ごきげんでいくぞ、と気持ちが作れた。そのおかげで、よりいっそうごきげんであれた。ありがたいことですね。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。