外道が『わたしは、ダニエル・ブレイク』と『チョコレート ドーナツ』について語るポッドキャストを聴いていたらすこし涙ぐんでしまう。ちなみに『わたしは、ダニエル・ブレイク』は見ていない。一時期読んでいた人文書でこの映画の批評がやたらと出てきた記憶があり、あらすじもディティールも読んでしまったせいで観た気になっているというか、読んで思い描いたものより面白い気がまったくしないのだ。
三鷹でMrs.fictions『再生ミセスフィクションズ3』。Mrs.fictionsは学生時代からずっと名前は知っていて、でも観たことがない劇団だった。それこそ評判を聞きすぎて、評判から思い描いたものより面白いかどうかわからなくなってしまっていたのもあるかもしれない。しっかり面白かった。会場中の再生怪人の撮影会も楽しいし、十五分の短編六本立てで、それぞれテイストが異なるので飽きない。クリスマスが好きだったし、やはり岡野さんの一人芝居は絶品だった。テキストそのものの好みという意味ではすごくハマるというものではないのだけれど、とにかくすべての俳優がよく、演出もシンプルなぶん足腰の安定したテキストの上で行われるいい演技をじっくり楽しめるというのがいい。とにかく俳優を見るものなのだ、というスタンスが明快で、だからこそ今このタイミングで出会えてよかったのかもなとも思う。学生時代は演出こそがいちばんのテキストなのだから、書かれた情報を推敲するためだけの上演なんて何の意味があるのだ、くらいに偏っていたから、こういうまっすぐに書かれたものを伝えてくるものを面白がる余裕がなかったような気もする。外道の語りもそうだ。とくになにか深みがあるというのでもない、そのへんにいそうな誰かが語る素朴な人生訓は、内容の陳腐さにもかかわらず、そこに乗る実感一つでずっしり重たくなるし、じつはけっきょくそのような重さに勝るものなどそうないのだ。
