2025.11.20

昨晩は嬉しいお誘いがあり浅草橋で飲んで、低気圧の翌日である今日はいちにち頭が痛くてどうにもならなかった。シャクティマットのパチモンで背中と頭皮を突き刺しながら、寝転がってU-NEXTで『キルマゲドン』を見る。猫をお腹に載せて観るようなものではなかったけれど、久しぶりに低予算と熱量と工夫と段取りで優れた瞬間をつくりだす映画の楽しさに触れた感じがあった。インタビューなど記事をあれこれ検索していたらどういう経路だったか忘れたけれど監督の一人のものらしきFilmarksアカウントを見つけて、ついつい一時間半くらいかけてレビューを通読してしまう。そのうえでU-NEXT に配信がありそうなものは片っ端からマイリストに入れておく。近作はピンク映画ということで日活ロマンポルノも多く、そういえば見たいと思いつつあまり見れていない。ひとまず『タイムアバンチュール 絶頂5秒前』を再生しながら夕食を作る。ロマンポルノは七十分程度で十分に一回ベッドシーンが入るというのが形式なので、十分に一回筋が止まることになる。おおむね面白いショットはベッドの外で起こるので、喘ぎ声が聞こえているあいだは極論目を離していていいあかしで、作業用にちょうどいいのかもしれない。七〇年代から八〇年代にかけての新宿ロケはそれだけで面白いし、話し方も今とはぜんぜん異なる。カメラの回っていないところでもこんな発声と抑揚だったのだろうか。子供の頃はこのころのこうした話し方が鼻について、わざとらしいと感じていたけれど、今となっては案外数年単位で人の話し方というのは変わるものだし、演技体もまた流行りや気分があるという体感があり、そこまでの拒絶感がなく、むしろ異物感こそが面白かったりする。すでに半世紀も隔てたひとらの声と体だ。『タイムアバンチュール 絶頂5秒前』はタイムパラドクスにまったく頓着しないSFで楽しかった。夕食後すこし横になるつもりでそのまま熟睡してしまった。薄い一日だ。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。