2026.05.29

今週もさめない社交。先週の「はじめまして篇」に対してきょうは「全員集合篇」なのだが、こういうふうにいって自分は「全員」に含まれていると思うような人はそもそもこの社交に来ないのではないかという予感もあった。毎回集客は新鮮に不安のだけれど、じっさい今回は初めて開店して一時間はスカスカで、しまったな、と思う。もともと静かにじっくり話すことを目指したかったから理想的とも言えるのだけれど、さすがにここまで満員続きでオペレーションの改善やらいろいろ試してみたくて、今回からカウンターは立ちにしてスペースを拡張したり、スタッフも来世さんとちゃんべさんの二人体制で盤石だったり、さあドンと来いという構えだし、なにより、こちらが賑やかさのなかでの振る舞いに調律されきっていることを突きつけられた。僕は社交の場では周りに話すことを促すだけで、自分はほとんどはなさないし、盛り上がってきたら端っこで静かにしていた。もっとも非社交的なのだ。人が少ないと自分も話すことになるし、なんなら場を回すようなことにさえなる。これは結構たいへんなことだった。やはり全員集合とか、ホストが誕生日とか、今回は人を気軽さから遠ざけるノイズが多すぎたかもしれない。いや、そもそも月末の金曜はみんな締め作業で忙しいしイベントも混んでいるのだとのちのちわかってくる。最終的にはいつもくらいの入りになってほっとする。花束やケーキもちゃっかり頂く。生胡椒や岩波文庫Tシャツのプレゼントもあって最高。家にいたらふつうの労働日なので、こうして外でわいわいやれるのはいいものだし、皆ちょうどいい塩梅でさらっと祝ってくれるから社交の場がそれで染まることもない。序盤の手持ち無沙汰で杯を重ねたのと、あとから何人かが奢ってくれたのとで久々にべろべろで、あべさんにモダニスト!などと難癖をつけたり、ホモソーシャルについてのイベントをやるべき、などと三つくらいの企画をでっちあげて豆腐さんと口約束したりした。奥さんのワンピースや、僕の半ズボン、幼い奥さんの描いた蛙をプリントしたTシャツもたくさん褒めてもらえてご満悦。奥さんは明日健康診断だからノンアルコール。帰り道にふわふわした僕をつれて家に帰る。日付はとっくに越えている。牛丼食べちゃう。豚汁もつけちゃう。夜更かしと満腹で気持ち悪くなりながら水をがぶ飲みして就寝。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。