2021.11.30(2-p.166)

下がり続ける気圧にも納得の具合の悪さ。本は読めそうにない。仕事中に『マギー』を流してますます気分が沈む。シュワちゃんだからこそ意味のある映画だった。拳で解決しないシュワちゃん。無力なシュワちゃんのよさよ。

それから元気を出したくてhuluの「未来世紀SHIBUYA」を観ていた。白石晃士監督の新作。僕はこの作家の、特に宇野祥平を撮る際に炸裂する男性性の有害さにウッとなるところもありつつ、その宇野祥平が出てくると嬉しくなってしまうほどにはファンだし、大迫茂生もひでぇ役で出てきて大喜びだった。不潔さを不快に撮るのがほんとうにうまい。鍋のところとか最低。それこそネット広告でしつこく流れてくる漫画のような切り取り方が簡単にできるような下品さや低俗さがあり、たとえば奥さんと観ようとは思わないのだけど、しかしそうした俗悪な表皮の内側にはこわいくらい洗練された構成があり、その不協和が癖になる。俗悪なのぞき趣味と、お高く止まったSF的知的興奮が一緒に満たされてしまう。そもそもSFというジャンルに蔓延るマチズモを考えると、典型的な往年のSFなのかもしれない。とにかくべらぼうに楽しかった。三話まで観たのだけど、フウカはつぐ巳だったし、だからこそあの結末が切ない。白石監督のことだから、二人の結末はああだと思っていたのに、そうなるのか。あと半分。これはまた楽しみが増えてしまったな。

今晩はRyotaさんと打ち合わせの予定で、しかし具合が悪くてすこし仮眠をとりたい、寝ながら日記を書けないかな、と呻きながら寝室に向かう僕に、『偶然の聖地』じゃないんだから、と奥さんはツッコむ。そう、解決策は明晰夢だった。

夕食は親子丼。この前の占いによると僕のラッキーフードは親子丼。

打ち合わせ。その場で春の文フリ東京の申し込みと入金を済ませ、Discord のサーバーを立ち上げた。お互い月末で疲れているので録音はまた今度にして、小一時間で通話を終え、そのままポイエティークRADIOのロゴくん──特に名前はなかったがRyotaさんがそう呼んでいてよかったからそうなった──のゾンビ版を作ってサーバーのアイコンにして、スケジュールや予算などチャンネルを仕分けていく。制作期間は半年。体制の整えだけはものすごいスピードで進んでいる。文字起こしがどれほどたいへんなさぎょうなのか。やってみないとわからない。楽しみだなあ。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。