今日の僕はどこか可怪しいらしい。
昼前まで布団から出てこず、ようやく這い出たと思ったら猛然と仕事をする。気がついたら退勤しており、また布団をかぶって出てこない。じっと『おいしいものでできている』や『日本中世に何が起きたか』や『残穢』を読み耽っている。
トーストした干し芋を六枚食べた。
朝から晩までまったく自分に構わずに、にこりともしない。これはどうしたことだろう。奥さんは訝しみ、だんだんと腹が立ってきた。最近は漢方もきちんと服んでいないようだし、自己管理の怠慢ではないだろうか。気がつくと顔もどこか影がかかっているようで、どこか他人のように思える。元から他人なのだが、そういうことではなく、ぜんぜん知らない人のような気がするのだ。
注意深く顔を見ていると、まばらな無精髭だけでなく、頬から額にかけて和毛が濃くなっているのに気がついた。普段ツルッとした顔をしているから、すこしでも茂ってくると一気に風貌が衰える。やんわりとそれを伝えると、要はいまの僕の顔が気に入らないってことだね、とニヤニヤする。
風呂場で大人しく髭を剃っていたから風貌はマシになっただろうが、いつまで経ってもあがってこない。浴槽に半身だけ浸かりながら『残穢』を読んでいるのだ。読みながらずっと映画はよくできていたのだなあと思いつつ、それでもあのオチだけはくだらな過ぎた、と考えていたので、小説の終わり方にはたいへん満足した。そして映画は出来としてはほとんど最高なのだけれど、ラストの蛇足のせいで台無しになっている、という思いを改めて強めたのだった。
したたるような赤身肉と、みっちりとしたフルーツサンドが食べたい。もう二十五時だった。こんなもの読んで、私まで食べたくなってきてしまった、歯を磨きながら日記を読む奥さんは思う。穢れと同じく、食欲が、伝播するのだとしたら?
