2022.04.07

80サイズを三箱、60サイズを三箱、レターパックプラスを三箱。台車に高々と積んで、結束してもらう。腰の高さまである新刊の山を、こわごわと郵便局まで運ぶ。局の入り口の坂道がいちばん傾斜がきつい。窓口で本を託す。係の人も二人がかりで一件ずつ捌いていく。腕がパンパンだ。これからの数日間、配達完了メールが続々と届くのがいつも楽しみだ。

午後はSPBS TORANOMON に直納に伺う。途中で定期券を更新する。移動中は國分功一郎がマゾッホを語る動画を聴いていた。白黒の動画で格好いいが、大半は耳だけ。動画三本ぶん歩きたくて、四駅ほど歩いて遠回りしてみたり、とにかくのんびり向かった。ヒルズについてからもトイレを済ませたり、上の階の鮎ラーメンを食べたりととにかく目的地に一直線に向かわないでだらだらと脱線するように歩いていく。これはいい遊びだった。気がつけばある地点からある地点への最短距離をせかせかと行きがちだけれど、明確に予定が立っていない日はこうしてふわふわと気を散らしながら、道行きを楽しむというのはいい。納品を済ませて、また二駅ほど余分に歩いていく。

無印で折り畳みテーブルを買う。ちゃぶ台はいつかの地震で本棚の下敷きになって脚がいたんでしまっていたし、僕も床座りでお尻や腰が痛んでしまっていたから、そろそろ高さのあるテーブルが必要だったのだ。搬出では右腕に負荷が集中した気がするから左手に持って帰る。本に限らず、具体的なモノを送るというのは肉体労働なのだ。手足や腰を酷使してある地点からある地点へとモノを運ぶ。そのたいへんさ。楽しさ。この体を抽象的な何かのために利用するのではなく、具体的な目的のために使用する素朴な喜び。

いきなり肉体を酷使したから両腕パンパンで、なぜか左のお尻と脇腹も痛くて、一度帰宅してから近所の銭湯に向かう。せっかくだからサウナもいいな、とうきうきしていたが、最寄りは木曜定休だった。打ちのめされかけたが諦め難さが勝って、一駅先の銭湯まで歩くことにする。いい感じの銭湯で、ちんまりしているわりにお風呂の種類が充実していて、サウナも水風呂ちょうどいい感じ。テレビがないのがいい。延々としょうもない半端な演歌が流れていた。三回ずつ入って、外気浴ができないのが残念だったが、かなりいい感じにほかほかした。

今日は19,000歩以上歩いた。夕食の途中で眠気に負けて、そのまま寝かせてもらう。もうこのまま朝まで寝てしまいそうだったが、歯磨きと薬のためになんとか23時過ぎに起き出して、起き出したからには日記を書く。これからの睡眠は二度寝みたいなものだ。きょうはすごく気持ちよく眠れそうだな、と思っている。やっぱり、体は動かした方がいい。ふだん在宅だと300歩も歩かなかったりするから、せめて毎日散歩に出たい、というより、出るべきだろう、と改めて決意する。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。