2022.11.06

エーステ夏を観たあと立川の飲み屋で注文したカーディガンが発送されて、エーステ秋を観る今日届く。家を出て十五分後に来たみたいで受け取れていないので届いてはいないのだけど、こういう偶然の合致は愉快だと思う。人は勝手に無関係な二点を結びつける。結びつける行為は面白いことだからだ。

午前のうちにお昼に回転寿司を食べて、水道橋。TOKYO DOME CITY HALL はヒロステ以来だろうか。きょうはジャイアンツの人がたくさんいて、この前飲んだ時にテレビで日本一が決まっていた気がするけれど、いまさら何をやるのだろうか。野球は僕はほんとうに未知の世界だ。今日の座席は舞台も男性用トイレも近くていい席だった。

エーステは僕は秋組がいちばんピンと来ていなかったのだけど、秋は後輩ができてようやく咲く組なのだな、と納得した。秋はACT2 からが本番なのだ。特にメンバーの仲がいいわけでもなく、一人一派の一匹狼しかいない秋組は、それぞれに独断専行ばかりで協業がすくない。だから多くの時間を一人語りが占めていたり、演劇的な掛け合いの喜びに乏しい。そこに莇のような「背中を見せてやりたい弟分」が入ることで、一人一人が勝手に振る舞うのは変わらないのだが、その行為におのおの見せたい背中を示すという共通の動機が挿入される。これだけで最小単位が一人芝居から二人での芝居に変わる。やはり不良というのは擬似的な「父」になる過程こそが旨みなのだな、と思う。全員がそれぞれに庇護者の立場を引き受けていく構造だからこそ、迫田の勇気が輝くのだ。迫田が立ち上がった瞬間、劇場の八割が泣いていて、もちろん泣いていた僕は危険な一体感のなかにいた。テンポもいいし、人数が多いから出ハケの導線も起伏に富んでいた。脚本や演出の仕事がシリーズ中でもひときわ効いているようで、とても面白かった。

神保町まで歩いてボンディで夕食。階下まで並んでいて諦めかけたが三十分くらいで入れた。ビーフカレーと牡蠣カレー、それに焼きリンゴ。焼きリンゴはシャキシャキしていて、焼きとは、と不思議だった。シロップ漬けで、クリームもおいしい。大満足。何駅か歩いて帰る。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。