FGOというスマホゲームにこの二年ほどハマっていて、キャラクターやアイテムをランダムに獲得するいわゆる「ガチャ」を回すためは「石」というゲーム内通貨が必要なのだけど、先日サービスの周年記念でこの「石」が無料で何百も振る舞われた。ふだん一回か二回ガチャを回せるかどうかという状態だったのに、十回を超える試行が可能な数をいきなり手に入れてしまうと、何度も回せてしまうというのがストレスになって、好きなキャラクターが特集されるのを待たずに無為にパーッと使い切ってしまいたくなる。今晩から新しいイベントが始まって、そこでどうせ蕩尽することはわかっているのに、その数時間が待ちきれずもう回してしまいたい。射幸心をくすぐる工夫はいつまでたっても力をもったままだ。いきなり大袈裟に敷衍するが、たぶん人は可能性がふんだんにあるという状況にそこまで耐性がないのではないか。人は不可能にこそ安らぐ。夢や幻想を語って人を動かしたいような人はこれを見誤ることが多い。求められている夢や幻想とは、定常状態への憧れなのかもしれない。いやしかし、これはただ僕が遊動性にたいして親しみや願いを抱くというだけの若さがなくなってしまったというだけなのかもしれないが。
きょう借りたスペースはきのうの品川と運営が一緒で、だからとても狭いことを覚悟したが常識的な面積で、上野の駅前の雑居ビルの八階までエレベーターで上がる。ここがエレベーターの最上階なのだが、スペースは九階にあるからひとつ足で上がることになる。階下は廃棄されたラックやら段ボールやらで埋め尽くされていて物音ひとつしない。なぞの緊張感がある。クーラーをつける。きのうは途中まで我慢してノイズ対策としたが、暑すぎてかなわなかったし、けっきょくAudacity を駆使してある程度ノイズ除去に成功したから自信がついた。僕はポッドキャストはiPhone のボイスメモに録って出しで、そうでなければ無限にこだわってしまいそうだからだ。ノイズの除去だけでもじぶんの偏執的な部分が活性化されてこわかった。遊星D『低き楽園』特集ということで、梢はすかさんと稲垣和俊さんをお呼びしてのおしゃべり。戯曲集をいただいて、それに目を通しながら改めて作品についてお聞きし、制作について、稽古のようす、場所や時間そしてお金の問題など、継続的にかつ規模を求めず演劇を作っていくことについてじっくり一時間強。面白かった。
そのままてきとうな個室居酒屋に入って飲む。瓶ビールから始めて、チューハイを何杯か、おつまみもそこそこで済ませたはずだが苦笑するほど高くついた。こういう可もなく不可もない味と居心地で、価格を鑑みるとやや不可よりというお店は久しぶりで、へらへらと話していた内容も相まって学生のようだった。お互いの作品のことなんかもあれこれと話したりしたはずなのだがすっかり忘れた。キョロちゃんのアニメのことと、エレベーターを待ちながら稲垣さんが「妻がラブリーなので」という言い回しだけが残響している。日付が変わる頃まで三人で上野公園をぶらぶら歩き、自販機を探す。ベンチでウェルチを飲む。ウェルチはいつでも美味しいからね。
はすかさんにいただいたステッカーが可愛くてうれしい。水風呂に浸かりながらFGO のイベントを遊んでいたら二時を過ぎていて、日記はさすがに面倒だなと思い寝た。これだけ酒が入っている。どうせ浅い眠りで、明日は早起きだろう。朝書けばいい。
