2023.12.07

引越しの検討をするためひたすら内見する日。強風のなか丘の上から斜度のきつい坂を転げるようにくだり、牛のようにあがっていくと知らない筋肉が疲れた。車の中では眠っていた。とっぷり暮れるまで家を見て、歩き回り、ようやく終えると今冬初のもつ鍋を食べた。

帰り道、わざと落ち葉を掃き溜めたところをざく、ざくと踏みしめて歩く奥さんの姿に、可愛らしい人だな、と思う。お互いに握る手は眠たさでぽかぽかと温かかった。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。