2025.01.06

仕事始め。慌ただしくしながらなんか忘れてると感じていたのだけど、朝からなんも食べてなかった。十七時ごろ、あきらかな燃料切れで慌てててきとうに作って食べたけど、もう夕食の支度をしなくちゃだ。なんか段取りまちがえたな、と思う。三〇分刻みで計画を立てて、おおむねその通りに実行していてえらかったのだけど、自分が腹をすかせる人間であることを見逃していた。昼休みには原稿を書いていた。規定の枚数にどうにも収まらない旨を連絡しておく。ひとまず見せてもらってから判断するねとのこと。載せてもらえるならいいけど、やっぱり長いと言われたら書き直しなわけだからなかなか面倒だ。オーケーをもらえるようなよさを目指して書き直しを重ねていく。さいきん、書き直しの面白さに目覚めた。一筆書きのような勢いを損なわないまま、むしろ速さを出すために書き直す。そういうやりかたを見つけた気がしている。まずはDynalist でわーっと書いて、順序や上下関係を入れ替えながらだんだんと成形していき、ある程度おおまかなフォルムが削り出せたところでてきとうなエディタ——今回はVS Codeの拡張機能「novel-writer」を試してみている、そもそもこれの設定に時間をかけてしまった——に移行して細部をちまちま削っていく。紙に刷りだして吟味し、うまく機能していないブロックや一文を四角で囲んでまた順番を入れ替えたり、ごっそり削ったり、がっつり書き足したりする。ある程度の量を書くというのは、一挙に走破するのではなく、あちこちから眺めすがめつつ、大きな素材から掘り出していくような作業なのだと思えてきた。日記はただ穴を掘って、隣に山を作っていくようなもので、ぜんぜん違うとも、かなり似ているとも言える。塗り重ねるとか、音を重ねていくとか、そういう感じではない。とにかくごりごり削り出す。打撃のイメージがいちばん前に出てきている。プロレスの見過ぎだろうか。逆水平チョップでそれらしい形を彫刻するのだ。こうなってくると手応えというか、モノ感が肝心なので、なにを使って書くかがけっこうばかにならない。「novel-writer」はプログラミングのツールを応用しているというのもあって、とにかく文字がいちいち物質くさくなるのがいい。縦書きでのプレビューや刷り出しができるのもかなりいい。道具をがしがしやって、できあがりの印象を確認し、細かく調整していく、というプロセスに馴染む。

夕食はキーマカレー。チャパティも作る。終わったら奥さんを待ちつつ本を読もうと思ったら、早めに帰宅しそうだったので慌てて米も炊く。耐えきれず夕方に昼を食べてしまったところから計画が遅延してわやになっていった。雨で、傘を忘れた奥さんを迎えに外に出るために労働もとりあえず終わらせて、しかし、なにもかもが半端に残ってしまった。まあしょうがないね。

カレーはおいしくできた。奥さんは早起きだったから、早々と就寝。僕は本を少しでも読んで気晴らし。それから日記。隣では僕の室内用ダウンをけりけりして大興奮だった猫が、そのままの勢いで左腕に掴み掛かってきたので痛い。なんだよ、と思いながら日記を書き続け、終える頃にはくちゃくちゃになったダウンの上で、後脚を前脚で抱え込むようにしてすぴー、すぴー、と寝息を立てている。人も猫も眠ってしまった。僕も眠いから寝よう。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。