2025.01.05

昨晩は就寝が二時で、今朝は五時から猫鳴く。相手をしつつ、七時前には引っ込んで二度寝。でもやはり鳴くのでふたたび相手する。相手しない方がいいのかもしれないけれど、スヌーズ機能もなしに止めるまで止まらない狂った目覚ましのように間断なく鳴くのでたまらない。二度寝して、十時まで気絶。

今日は家に来客があるので、読書会も東京ドームも見送り。そもそもこの睡眠時間では無理だったろう。洗濯や掃除、片付けを済ませ、正午過ぎから人が集まってくる。奥さんの高校の同級生が来てくれる。一階で談笑しているあいだ、僕は二階できのうの日記を書いたり、猫の相手をする。ワイプでイッテンゴの中継を流す。第0−2試合の金丸SHO対THE SONS OF TEXASが最高だった。寝不足で日記がまとまらない。というか、プロレス見ながら書くのは無理ですね。

お昼はお寿司。ぱくつきながら仕上がったエピソードトークに聞き惚れるなどする。笑った。しかし、個人のごきげんな気分を損ねてコントロールするような奴らは全員くそだ、という思いが募る。笑い話になってよかった。嬉しそうな顔をして笑うことのできる人が、心を殺さないとやっていけない状況というのはほんとうにいやだ。すぐさま逃げろと言えるのは外からだけで、渦中にいるとまずそういった発想から萎えていくというのも体感として知っているのでやるせない。鉄板エピソードとしての完成度に笑えるのは、それがそこまで過去の他人事として相対化されているというのが嬉しいからでもある。

食後は二階でたくさんのホモサピが猫の相手をしてくれる。ルドンはまったく物怖じせず全員に甘ったれているので大したものだった。やはりこの猫は、ホモサピであれば誰でもいいのだ。かわいいな。猫じゃらしの扱いが一人一派の個性があり、猫の反応もそれに応じて変化するので楽しかった。長く猫と暮らしていた人の手つきにはやはり熟練を感じるし、猫もたしかに楽しそうだった。無限に遊んでいそうな気配があった。

夕食はお店を予約していて、それまですこし昼寝をさせてもらう。たぶんがっつり二時間弱寝たのではないか。水をいっぱいもらい、先に家を出てもらう。着替えて、夜道を追いかけて行く。ごはんはとてもおいしくて、大人数で来るといろいろ食べられていい。バス停までお見送りして解散したあと、イッテンゴを映像で観戦。日記を書きながら眺めてわくわくした第0−2試合と第1試合を、ジュニア贔屓の奥さんと見ておおはしゃぎ。それからセミとメインを観る。ゲイブとケニー・オメガ戦では、プロレスを見ていて初めてぼろっぼろに泣いた。二人とも凄すぎる。復帰戦という歓迎や心配のムードを寄せ付けないケニーの圧倒的存在感、棚橋を涙させるゲイブの新日愛。ゲイブは手数が多いというわけではなく、技はあくまで基本に忠実だ。だからこそ、華やかな大技を連発するケニーに対して、とにかく気持ちでぶつかっていく。会場もその気持ちに共鳴していく。ゲイブの愛は過激な言動とファイトスタイルで極端で危うい形で体現されるから、ヒロアカのステインのようなのだが、ゲイブを見ているとステインが少なくない人々の心を動かすことに対する説得力が増す感じがある。終盤、二人とも額を割って流血している中、満場のゲイブコールを受けてかれがふっとみせる表情が柔らかくて、その目を見たらぶわっと泣いてしまった。ここまで孤独を恐れず自分の信念として団体を背負うと吠えてきた男が、いま、この瞬間は確かにひとりではなかった。単身リングに乗り込んできて、ひとりで立ち上がり、身一つで去って行くケニーとの対比が鮮やかで、これはまじでいい試合。あまりの凄さに呆然とする。

セミファイナルで満腹で、余韻が強すぎてもう切り替えられないかも、と思いつつ流れで見たメインはリコシェが飛んであっさり涙が引っ込んだ。これもすごい。心の試合で撃ち抜かれた後は、有無を言わせぬ技巧の鮮やかさで否応なく惹き込まれていく。流石だ。大満足の内容で、おれは昨日もザックのこういうのが見たかったよ!と地団駄を踏む。まだたくさん見ていない試合が残っている。残りの試合も楽しみだな。すごく楽しみだな。今年もプロレスを見ていこう、と思えた。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。