2021.08.12(2-p.150)

朝、布団でうだうだしていると奥さんに枕を投げつけられた。昨晩はなかなか寝つけずに奥さんに深夜まで話しかけていたから、苛立っているのかもしれない。目覚めから少ししょげそうだけれども、寝付けないのをいいことに夜更けのあるいは明け方の布団の中でコツコツとフリクエや幕間を進めて集めたなけなしの石でちまちま単引きしていたら、とうとうオベロンが来てくれたので今朝はとってもごきげんです。後で聞くと奥さんは僕に対してはなんとも思っていないで何も考えずに布団を片していたらたまたま枕を投げた先に僕がいたとのことで、単純にがさつなだけだとのこと。そうですか。それならよかった。おかげで思ったよりも早起きできた。せっかく予想外に現れた午前中はオベロンの育成に費やす。愚か。

ブランチはクレープパーティ。美味しくて満腹できょうはすでにいい一日だったという気持ち。

食後は漢方の補充に家を出たいが億劫だった。ひとまずKindle で予約していた『無敵の未来大作戦』三巻を読む。最後の最後まで優しい世界で嬉しくて最高だった。アハハと笑ったその顔のまま涙ぐんでしまった。この漫画の世界観が「べつに普通じゃね?」と思える世界を作っていくぞ、という気持ち。全生き物必読の書だと思う。

外出するならカフェで原稿でも描くか、なんか外で書き物するとそれっぽいしな、と思い立ってMacBook を持って家を出る。今日の僕は洒落臭いぞ〜とうきうきする。漢方を買い足して、その足でカフェへ。せっかくWi-FiあるしOSアップデートしよ〜と思ったらもちろんかなりの時間がかかって、原稿はろくにかけないし、このあと行きたいコーヒー豆の補充には間に合いそうにない。アップデートのためにWi-Fiを借りにきた人になった。コーヒー豆は道すがらにある初めての焙煎所で買って帰る。

散歩をしながら友達とオベロンについてLINEでやりとりをする。主に「語彙が追いつかない」と言っていた。語彙を追いつかせるために会合を開く必要がある。晴れた日の夜に河原に集まってみんなで語ろう、会合の名前はもちろん「真夏の夜の夢」だった。楽しみだな。なんだかこの夏は人と話す約束ばかりしている。僕は自分のこと、基本ずっと家で引きこもってたいと思ってると思ってたけど、ほんとうは「しょっちゅう外出して、出先で(早く帰りたい……)と思ってる状態」が好きなんだと気がついた。僕がなんだかんだ学校や会社に平気で通い続けられてるの、この性質のおかげな気がする。居心地よくて馴染む場所や人だけだと、それはそれでよくなくて、どうよくないかってますます「外」が怖くなったり「人間」が嫌いになるのだ。気が合うわけでも好感を持てる訳でもなんでもない他者や、そこそこの好ましさは持っているけれどがっつり踏み込むつもりはない他者たちと「ほどほどに」付き合ってくの、分断っつってもこの程度かー、と自分の悲観と楽観のバランスを調整するのに必要だったのかもしれない。

帰宅すると脱水気味で、気圧もつらく、寝不足気味なのもあって、たいへんだった。夕食まで仮眠をとらせてもらうことに。ずいぶん楽になった。僕は大根おろしがだいぶ好き。それで食後は青木さんと録音。ポイエティークRADIO とオムラヂの二本録り。二時間調子よく話す。楽しかったなあ。しかしこれは聴く側も楽しいのだろうか。自分たちが楽し過ぎて、どう受け取られるのかまったくわからないな。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。