2021.09.17(2-p.150)

オゲェ

台風の予想進路は相変わらずで、今朝から下がりっぱなしの気圧は明日の夕方ごろにようやく底をつく予報。頭蓋骨の中に端切れなどの緩衝材をみちみちに詰め込まれたような頭痛。誰かが低気圧に押し潰されそうだと思うけど、圧が弱まってるから逆なんだよな、と言っていてその通りだと思った。内圧でぎちぎちになるのだ。奥さんは浜に打ち上げられた深海魚の気持ちがわかる気がすると言っている。ディパシオを四時間おきに服む。

朝ごはんは名古屋土産の赤福──わかっている、怒られるだろう、でも僕も名古屋の人だからこういう傲慢さがある。小島信夫は全てを岐阜だと言うが岐阜だって名古屋だ──を三つ食べる。夕方のおやつに青木さん夫妻にいただいた東吉野の和菓子をいただく。あんこまみれ。それぞれ甘みの感じが違っていて面白い。後者は味醂とはちみつのこっくりした甘みがさりげなく効いていて上品。赤福は食べるたびに子供の頃食べた伊勢うどんの衝撃を思い出すことになっている。あんな不味いもの食べたことない。奥さんは伊勢に行ったことがないがあれは長距離を携行食だったりで済ませて歩いて来た人たちの栄養食だったのではないか、という説を披露していて真意はともかく面白かった。味ではなく、栄養や滋養を目的とした料理。なるほど。体調はやはり限界で、本もほとんど読めず少しだけ小島信夫、賃労働も早めに切り上げて、小豆の目を温めるやつをレンジに突っ込んで、待って、取り出す。布団に入ると気絶するように眠った。起きると二〇時を過ぎている。二、三時間ぷっつりと寝てしまっていたのだ。夕食の後は月姫。秋葉や翡翠に悲しい顔させないでほしい。そもそもこの主人公の態度が悪い。なんでこんなに偉そうにできるのか理解できない。もっとみんなを、自分を労りなさい、と腹立たしく思う。向いていないのかもしれない。

寝ても寝ても眠い。一挙手一投足すべてが億劫だ。いまもお風呂に入らなくちゃねえ、と言ってすでに三〇分が経っている。その間に日記を書いているからまだいいが、そうやって無為に捨て去った時間が今日の大半を占めている。そう言う日もある。ようやく九州のあたりで、明日の夜には温帯低気圧に変わるらしい。よく考えると温帯低気圧ってなんなんだ。僕は何も知らない。知らないままに雰囲気で生きてる。台風よりはマシなものなのだろうとなんとなく思っているが、それは本当か?低気圧にマシなものなんてあるのか?何もわからないし、調べる気力も湧かない。お風呂に入る必要がある。残りの赤福の賞味期限もすでに五分も切れてしまった。日付単位の賞味期限って厳密にはいつのことを想定しているのだろう。次の営業日?どうせ休みの日はメールチェックとかしないもんね。週末はバッファで考えといて大丈夫でしょ。なんでお前の都合で進行してるとか思っちゃった?あとでちゃんと説明してくれる?

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。