2021.11.27(2-p.166)

文フリや書店展開に向けての新刊案内をツイートするといつもすこしフォロワーが増えるようなのだけど、昨晩の「柿内正午×柿内正午」の対談ネットプリントの告知ではいつもより多めに増えた感じがあった。ZINE よりネットプリントの方が人気があるのかなあ、と話すと、Twitterに求めているものは狂った生き物を檻の外から見ること、だから狂えば狂うほど増える、と奥さんは的確に分析する。今の僕は檻の中の珍獣。僕はああいう文章だったら無限に書いていられる気がする、というかもうすでに書きたくなっているから増刷ぶんの納品ができるくらいのタイミングで二回目もやろうかなと考えている。しかし実際にプリントしてくれるのはどれだけの人だろうか。五人くらいかな。

新刊ZINE の各書店の紹介文がどれも嬉しく楽しい。黒田さんの端的に言い表す感じも、松井さんの細やかに本に寄り添うような文章も、ほんとうに好き。短い時間で的確にエッセンスを拾い出す技術のすごさを思う。

出がけにネットプリント。間違えて片面ずつ印刷してしまった。両面固定で設定とかできたんだろうか。最近外食が嵩んでいるので今日は食べる以外の楽しさをやってみよう、ということで万世橋の謎解きで遊んでみる予定だった。まずは手始めに豆花工房で朝ごはん。それから駅前のニューデイズで参加表明をするらしいのだけどよくわからず万世橋のほうまで一回行ってみるもわからず諦めてニューデイズの店員さんに訊いてみようと引き返すとふつうにお店に参加キットが陳列されていた。買って、さっそく万世橋の常陸野ブルーイングでサバサンドを食べながら謎解き開始。奥さんの発案なので奥さん主導で解いていく。とても楽しそうで、僕も面白く横からやいのやいの言ったりした。あちこちうろうろして、知らないことも多くて楽しい。大興奮というものでなく静かにわくわくする。風が冷たくて何度も屋内に退避する。壁や天井のありがたさを感じる季節だ。奥さんが集中して謎と格闘している時間はTwitterを確認してプリントしてくれている人がいる!界隈ではネップリと言うらしいことを知る。これはとても嬉しいなあ。途中で寒さの限界が来ていちどアトレまで移動してケーキを食べながら暖かい飲み物を飲んだ。すっかり冬だ。そしてクライマックス。じんわりとした満足感。肉の万世のカツサンドを買って食べる。大満足。

面白かったね。奥さんは制限時間に急かされないこういう謎解きが好きみたい、と満足そうだ。最近の奥さんはちょっと生き物としての可愛さが極まっていて、Twitterで流れてくる愛らしい犬猫の動画を眺めているとつい、奥さんみたい、と感じてしまうほどだ。ちょうどよい遊びだったねえ、次は東京ドームの宇宙のやつをやってみよう、と言いながらほくほく帰る。熱い湯船に浸かって助かる。ネップリはこれを書いている19時20分時点で「13」だ。僕の分を引いても十二人もの誰かがわざわざセブンに出かけてこれをプリントアウトしてくれている。なんだこれ、超楽しい遊びだな。ある方が「たくさんの柿内さんがわいわいと対談されていてとっても楽しかったです!推しの柿内さんはポイエティークRADIOの柿内さんです。」と連絡をくださって、「推しの柿内」という強すぎる新概念に笑い転げた。FGOのエリちゃんじゃん。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。