2021.11.28(2-p.166)

これから年末にかけてシフトが変則的で、さっそく曜日感覚がおかしい。月曜かと思ってた。

ネットプリントの写真をツイートしてくださっている人がみんな本文を隠したりボカしたりしていて、その気遣いに感動する。すごいな、なんて優しい世界なんだ。

『Humankind』を読んでいて思ったこと。甘やかすと怠けるという人間観は、怠ける経験を奪われた側からしか出ない。たっぷり休んだあとにまで、怠け続けるのにもある種の胆力がいるし、個人の資質も無視できない。とにかく怠けっぱなしというのはどこかに限界がある。なんだかんだ何かしら遊びたくなるものなのだ。それはなんでもいい。近場の銭湯ぜんぶ回るとか、名前の知らないスパイスを適当に全部使ってカレーを作ってみるとか、本を作ったりフリーペーパーを配ってみるとか。そういうことのほうが賃労働なんかよりずっと誰かの喜びになるかもしれないし、ならないかもしれない。自分にとっては遊びでも誰かが喜ぶなら仕事のようなものだ。もっと人と喜びを分かち合うような遊びに勤勉になるべきだ。そのためには膿むほど怠けられる時間が必要だ。そういう感じでいいじゃん、と思っている。もっと人は甘やかされるべきだし、飽きるほど怠ける時間を持っているべきだ。べきべきいう人は信じてはいけない。べきべきいう人は無視するべきだ。

今夜の確認ではネットプリントの実績は「33」。20を超えたら二号も作ろう、と思っていたので、作るだろう。ありがたいことに毎日のように追加や新規の注文をいただく。増刷待ちだけれど、すでに次の増刷を考えている。今回は100ずつで刷っている。それじゃ少ないよ、もっといけるでしょ、と言ってくれそうな顔がいくつも浮かぶ。でもね、合計200冊もの本がデーンと来ると、置き場所に困っちゃうのよね。本当はもうすこしまとめてドーンと刷った方がコストも抑えられるし、お待たせもしないからいいのかもしれないけれど、それは僕の今の生活のキャパを超える。だからしない。しかし、こういう時、ほかのZINE作家の人たちと共同で場所を借りて、制作ができたり、在庫が保管できたり、発送作業ができるような運用を回していけないかなあと夢想が捗る。誰かやりませんか。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。