2022.02.15

きょうは御徒町から浅草にかけて散歩。STUDIO UAMOUをひやかして、TOUTEN BOOKSTORE カラーの入荷予定日を訊いて行こうと思っていたのに、ショーケース内のフランケンおばけちゃんに一目惚れして買ってしまう。可愛い。そこから浅草まで歩く。道中、Readin’ Writin’ をひやかして、山田登世子の『シャネル』とグレーバー『民主主義の非西洋起源について』を買う。

しばらくうろうろして、結局ミスドでコーヒーをおかわりしながら機運が高まるまで『眼がスクリーンになるとき』を読み進める。再読だと、さっぱり覚えていないつもりでも苦労したはずの理路があっさり追えるようになっていたり、なにかしら残ってはいるのだろう。硬い椅子に背中が痛くなってきて、ドゥルーズの平面に起こすには立体的に過ぎる議論に壮大な気分になってきて体が追いつかなくなる感じがやってきたので、機運は高まった。浅草ROX のまつり湯へ。はじめて来た。クーポンを駆使しても二千円もするから、さぞ空いているだろうと見越しての贅沢。とにかく広くて天井が高くて外気浴ができて人がいないところがよかった。思ったよりは人はいて、閑散とはしていなかった。しかし賑わってもおらず、安心。サウナで咳き込むおっさんがいて、結局こういうのは一人いるだけで緊張するから、運だった。そのおっさんはさっさと出て行ったのでよかった。交互浴を四セット。ドゥルーズを読むと瞑想したくなるというか、この身体に集中したくなる。だからドゥルーズを読んでうずうずしてからのサウナはやってみたかった。しっかりぼけーっとできて、二時間半くらいだろうか。生き物として、ただ自分の体の輪郭を感じているだけの充足。

僕のような元来ミーハーのくせに通ぶりたいという通俗的スノッブは、サウナとか自転車とかコーヒーとか、ふつうに好きなはずなのに「同好」のコミュニティがどんどんダサくなっていっていって、好きかどうかまだ確固たるものが自分のなかに形成される前になんとなく好きと言えなくなっちゃう感じがある。これはサウナとか自転車とかコーヒーとかで鬱陶しいステータスを誇示する資本主義ゴリラたちの総数よりももっと多くありふれているはずなのだ。僕が勝手に燃やしていた使命感は、一素人として、スノビズムの悪しき自意識過剰な逆張り精神を超えて、軽薄なスノビズムの楽しさを復権するというものだ。安易に乗っかり、面倒なことになったら手のひらを返す。楽しくやりましょう? と居直る太々しさ。そういうものを、適度に手に入れること。屈託なく好きなものを好きと言いのける「空っぽ」さを引き受けること。どうせ人間、そんな大した中身なんかない。

つまり何が言いたいかというとだ。サウナって気持ちがいいね。また行きたいな。きょうは最近すっかり埃をかぶっていて残念だったブルーライトカットの八角形の可愛いメガネをお風呂用に転用したのだけど、眼鏡があると安心だし、景色も見えて嬉しかった。サウナだとどうしても金具が熱くなってしまって危ないから、つるの部分をゴムにリメイクするとかしてまたどんどん使えるようにできたらいいな、と考える。お風呂やサウナ専用のメガネもあるようだけれど、自分でどうにかできるならそれがいい。

休憩スペースでまたドゥルーズ。気持ちがいい。

満足して、でもまだ仕上げがある。フグレンでブラウンチーズのクッキーとギムレットを頼んで、さくっと一杯やりながらドゥルーズ。眼がスクリーンになった。

帰ってまたお風呂に入って、じんわり温まる。寝る前は紅茶を淹れて、奥さんとチョコを食べる。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。