2022.02.21

昨晩はうまく眠れなかったのだけど、25時ごろ月曜に休みを振り替えていたことを思い出していたのでそこまで焦ることはなかった。9時のアラームというか、最近は起床時間になるとpopIn が部屋を照らし鳥がチュンチュン鳴く音を再生することになるのでそれで目を覚ます。ここまではできるのだ。問題は布団から這い出して縦になることで、最近は昼まで動けない。でも今日はがんばった。10時には縦になって二足歩行を開始していたのだからえらい。コンビニにレターパックプラスを買いに、スーパーにアセロラドリンクを探しにいくと決めていたからだ。コーヒーを飲んでいると嬉しい連絡があり、ラフが届いた! 出かける前でよかった。吟味のためこれもコンビニで印刷しよう。

歩きながら昨日の録音の配信されたやつを聴いていると、泣きそうになってしまった。奥さんも後で、「小鳥遊おとはちゃんの話をしてるところを自分で聴き返してやっぱり泣いちゃった」と言っていた。でもそれは「格好いい」なんて一言ではとうてい表せない格好良さを、もっとちゃんと伝えられる言葉があるはず! という悔し涙でもあるとも。

アセロラドリンクはこの半月くらいなんだか飲みたい気持ちだったのだけれど、そういえば見かけない気がする。最寄りのスーパーにはない。コンビニにもやっぱりなかった。それで駅前のスーパーまで歩くとそこにはちゃんとアセロラドリンクがあった。80円とかで売ってる。嬉しい。今日は天気もよくて、久しぶりに活力がある。駅前の本屋は何も期待してないからヒロアカの新刊を買いにくる場所だけれど、何も期待してないからそもそもまともに棚を見たことがないかもしれない。今日はここで遊んで帰ろう、としっかり棚を見ることにした。クズみたいな本もあったりはするけど、露骨に面陳されてる感じでもなく、バランスはいい。意外と海外文学の選書が光っている。漫画の品揃えはむしろマニアックですらある。雑誌はふつう、というか僕の解像度が高くないからふつうに見える。こうして「ふつうの町の本屋」を歩くと、臆面もない現代人の欲望が透けて見えるようで面白い。とにかく人からマウントを取られたくなくて、最高効率でなにかをインプットしたくて、お金や人間関係の煩わしさからいい感じに自由になれそうな「いい」老い方を模索している。大半の本の対象年齢が50代以降という感じがして、すこしぞっとする。でもこの国の平均年齢を考えたらそんなものだろう。

最寄りのスーパーで筋子と食パンを買う。帰宅してアセロラドリンクを飲む。これこれ、この美味しいような美味しくないような、酸っぱいような酸っぱくないような、甘いような甘くないような、果実というより甘味料の味しかしない癖に、全体としてぼんやりとした印象を与えるこの飲み物がなんだか飲みたかったのだ。ラフの返信をして、楽しみな気持ちが盛り上がる。

奥さんが完璧に梱包してくれたレターパックプラスを郵便局に持っていくためにまた家を出て、その間に奥さんは筋子をバラしていくらにしていく。奥さんのリクエストでお昼はいくらのおにぎり。帰宅してバトンタッチ。『時光代理人』を見ながら血管を指で取り除いていく。米を炊いて、熱々のをボウルに移して塩を塗り込んだ手のひらでフワッと握っていく。おにぎり握り方のコツは、学生時代釜ヶ崎に行った時、ボランティア団体の方から教えてもらった。夜回りをしながら、カイロと一緒におにぎりを配るのだ。熱々のものを、塩を塗り込んだ手のひら全体で握ること。コツというより、熱さに耐えろ、という覚悟のようなものかもしれない。固くむすびすぎても、やわすぎてもいけないが、家で食べるならむしろやわらかいほうがいいかも、という塩梅で仕上げる。案の定食べている間にぼろぼろと崩れたが、美味しくできた。ふたりで二合。ほとんどぺろり。

それから本棚からランダムに二〇冊くらい引き抜いてきて、冊子の原稿を書き上げていく。なんだか小難しいものが続いたので、今回は気楽な感じで書きたかった。いい感じにできたと思う。夕方までに書き上げて、一時間後に見直して、すぐにメールを送る。

書くのも読むのも億劫な日が続いていたけれど、こうして書いているうちにちゃんとその気になっていて、いま読みたい本が明確になった感じがある。僕は今はどうやらビジネス寄りの、明確に目的や結果の因果関係のあるタイプの本が読みたいようだった。教科書とか参考書の類。ドゥルーズばかり読んでいると、この社会というフィクションの上での振る舞いを忘れてしまいそうになるので、一度自分のなかで表面化してきているカオスから身を引き、社会というフィクションの運用の必要に合わせて単純化されたものごとをいかに捌いていくのか、という効率化や最適化のゲームに興じようということらしい。

日記が楽しく書けると嬉しい。本も読めるとなお良い。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。