仕事終わりに奥さんと合流して、洋服を見て、MUJI CAFE でお茶。疲れもあって僕はプリンを食べながらうとうとしてしまって、奥さんは日中に観た舞台映像に不完全燃焼気味。退勤後デートとしてはかなり不安な雲行きで、さっさと帰るべきだった。けれども上の階のピカデリーでゴリ押しされている『シャドウ・イン・クラウド』はずっと気になっていた映画で、配信まで待つ気だったがそういう安い映画をわざわざでかいスクリーンで観るという無駄遣いがしたくなって、奥さんに提案すると意外に受け入れられたので無印のセール品に気を取られたり注意力散漫っぷりを発揮しつつもなんとか上映10分前にはエスカレーターを上がってチケットを買った。ホットドッグを買って、奥さんは映画館に食べ物を持ち込むのはじめてだ、これはどのタイミングで食べていいの? とそわそわする。二人とも荷物が多く、両脇に体の大きなおじさんがいて、必死に自分の席のスペースを確保する。ホットドッグは予告編の間に食べてしまう。『XXXHOLiC』の予告が二度流れ、予告の時点で最低だったので映画が面白くなかったらこれの悪口で盛り上がろう、と奥さんは考えた。そして映画が始まる。
エンドロールが終わり、客電がつく。めっっっっっちゃ面白かったね、と奥さんが言う。マジで面白かった、と僕は応える。これは、一杯くらい飲んで帰りたいね、と福包で餃子とチューハイを決めつつ、最高だった、すごく面白かった、と二人とも興奮して映画を褒め称えた。人間ってすごい、と奥さんは言う。わかる。こんな面白いものを作れるなんて、人間はすごい。ほろ酔い気分でここがよかった、あれがよかったと熱を帯びた感想をただただ交換し合う時間で、ああ、こういうのは本当に最高の時間だな、と思う。やっぱり、いいものを観たら、お茶なり酒なり飲みながら語り合いたい。夜遅くまでお店が開いていることの素晴らしさを感じる。封切り直後はお客も感じがよくてそれもよかった。これからきっとこの映画はTwitterで大喜利的な、なんか上手いこと言いたいだけの人たちの過剰な感想で溢れるだろう。そういう下手な先入観を押し付けられる前に観れてよかった。これからこの作品にケチつける感想が溢れたとしても、僕はこれを最高だと思うし、大好きだと思う。なんの感想も見かけることないままに映画を観るというのは久しぶりのことかもしれなかったし、Twitterというのは作品を知るいいツールではあるが、作品と自分自身とが出会う喜びを減退させるものでもあるなと改めて思う。そう思いながらも「めちゃ流行れ」という気持ちで僕もツイートしてしまう。過度な期待を煽り幸福な作品との出会いを毀損する状況に僕も嬉々として加担する。いやしかし、観てしまったからには、めっっっっっちゃ面白かった!と言いたくなっちゃうものなのだ。
