昨日はもう飲みだしていたような時間にのんびり起き出す。
浅草はお祭り気分。
パンケーキを食べに出掛けて、パンケーキは今の気分にぴったりのふわふわ加減。コーヒーが想像以上の不味さだったので、そのまま浅草まで歩いてフグレンでテイクアウト。周辺は御輿の気配や、法被姿の人々があり、午後だったのでもうわっしょいわっしょいは終えたのだろう。赤ら顔でお互いを労ったり、久々の再会にオーッと大きな声で喜んだりしている。
こんなに賑わいのある浅草は久しぶりだなあと思う。人が多いというのは、なんだな。やっぱりそんなに好きではないな。人気のない東京というのは、もの寂しくもあったが、快適なところもあったのだと改めて気がつく。人々が以前のように町に繰り出すようになったとき、僕たちはここを出ていくかもしれない。わからないが。
浅草散策は難しそうなので、上野まで歩く。上野公園の数々のオブジェの謂れを丁寧に読み込む遊びをして、東照宮もひやかした。静岡と江戸はわかるが、そういえばなんで日光にもあるんだ? と不思議に思う。後で調べると縁起を担いだ的なやつらしい。上野の記念碑たちは、なんというか節操なく色々な文脈を取り込んでいった結果という感じで、編集方針の定まっていない雑誌のような感じだ。
いちにち歩きながら色々な話をした。対コンテンツと対生身の人間とに同じ「性癖」という言葉が使われることによって生まれる齟齬。その危うさについてなど。前者の用法でカジュアルに使われれば使われるほど、後者における他者侵害の暴力性が良くも悪くも際立ってしまう。これはフィクションに対するスタンスだとか、さまざまに展開しうる話題で、ずいぶん熱心に検討していた。
みはしであんみつ。役者の負傷でマチネを中止し、演出を変更しソワレを開いたエーステの話をする。みんな「申し訳ありません」じゃなくてちゃんと「ありがとう」で報告を締め括るんだよ、形式的にとりあえず謝るみたいな対応もありふれているなか、みんなちゃんと一緒に前を向こうとする、これは客をちゃんと信頼していることの表れでもあるよね、という奥さんの話に思わず涙ぐんでしまう。僕はもう随分、エーステが好きだな。ソワレ前の支配人の中の人のツイートもよかった。
「実話怪談はもういいんですか?」
実は昨日までは実話怪談の話法は残していたんだけどね、きょうはもう疲れたから休むことにしたんだよ。
「へえ。」
まあ、また気が向いたら再開するよ。
「いや、べつに誰も求めていないんですけどね。」