抱き枕を抱いて寝た初日。朝起きたら頭部は枕からずり落ちているし、抱き枕は背後で踏ん反り返っている。先に起きた奥さんの談によると、僕はタオルか何かを満足そうに抱きしめて寝ていたそうだ。仮説だが、抱き枕を抱いて寝ると寝相がすごい。
『ピースメイカー』の最終話を見た。このためだけにU-NEXT に加入したけれど、ほんとうに面白かった。ジェームズ・ガンは『トロメオ&ジュリエット』からずっと、「親から受けた呪いはとても強いけれど大丈夫。僕にはもう恋人 or 友達がいる!」「とはいえ、家族の呪縛から完全に逃れることはできない」という話を繰り返し描いているとも言える。本作はその最も洗練された形での提示で、お馴染みのテーマを豊かなディティールで囲み、そうしたディティールがいちいち気が利いている。アメコミの世界観とディープステートのような粗悪な陰謀論との親和性への自己言及や、白人男性のマチズモの解体の仕方など、笑えないシビアな話を笑いとして提示する匙加減がとても冴えている。満足。こういうのをずっと見ていたい。
雷は遠いのだろう。そこまで強烈ではない光がちらつき、三秒以上経ってようやく音がする。そのわりには大きく響く。場所によっては大ぶりな雹が降ったらしい。
雨上がりの夜道が気持ちのいい季節になった。空の灰色にまだ明るい青味が残っている頃に家を出て、歩いているうちにだんだんと青の濃度が増してきて、どこかのタイミングで黒と判別がつかなくなる。街灯もそこまで見当たらないはずなのにやけにくっきりと土手を行く人の姿が見えるから、川の側に光源があるのかもしれなかった。しれなかったと書いたがもちろん歩き慣れた道で、向こう側にまともに灯りがないことを知っている。むしろ自分の歩いている側の方がそれなりに街灯がある。
清潔感のある店内に比べてメニューの内容は小汚い店の雰囲気のある居酒屋で夕食。FGO の6.5章の悪口などをおしゃべり。賑わいがすごくて、隣の席の会話の内容も聞き取れない。あらゆる場所での大声が、ぼんやりした音の塊として押し寄せてきて、僕たちは喉を潰さないようにと気にかけて言葉少なだった。イカルイベ刺しをつまみにフグのヒレ酒を啜る。慌ただしい店内で注文がなかなか通らないから程々のところで席を立つ。そのくせ歩き出すと腹が膨れて二軒目はなし。
帰ると奥さんは小腹が空いたらしく卵焼きを作って食べている。僕は日記を書き出す。『旅する練習』のように風景を文字でスケッチしたいと思うと、このMacBookはちょっと重い。とはいえ野帳だとこの分量は大変というか、キーボードの方が僕は遠くまで書ける気がする。ポメラだろうか、でも高いのよな、と調べてみるとずいぶん安くなっていた。新型でも出たのだろうかとホームページを見にいくと販売終了だそうだ。あれ、これは今が最後のチャンスということだろうか。しかし、終了ということはサポートももうないということだ。いま家で埃をかぶっている乾電池式のやつでよしとするべきかもしれないが、USB であれしないといけないのがなんとも面倒くさい。結局野鳥やHINGE で手を動かしつつ、あとでタイプし直すくらいの方がいいようなきもする。電子から電子への移動は徒労だが、手書きから手打ちへのやり直しは動きが違うから面白くやれる。手間をかけた方が感じる面倒がすくないというのはなんだか変な気もするし、当然のことのようにも思える。
