神保町の伯剌西爾で高田さんと蛙坂さんと打ち合わせ。話したいことがどんどん出てくるけれど明日にとっておくために我慢。それでも雑談は楽しくて、スピルバーグの初期作が帯びる怪談性、気絶にまつわる考察話などで盛り上がる。すでに楽しい。
夕方からは早稲田で約束があり、解散後歩いていくつもりだったが炎天下で命の危険を感じ断念。電車で向かう。できた余裕でカフェ・ゴトー。お昼代わりにタルトを食べる。窓側の席の人たちが同級生に他人の空似で二度見。先ほど教えていただいた『悪筆怪談 と言って、グラスを置いたという』を読んで過ごす。巻末の「竹の子書房文庫創刊に寄せて」がツボ。書き出しから某文庫の創刊の辞ほぼそのまんまなのだ。これはとても面白い、と言って、僕はマグカップを置いた。
時間になってなじみの居酒屋で先輩後輩と飲む。先輩が卒業してからもう一〇年近く経っているような気もするが、この店もこの人たちも会えば相変わらずな感じでへらへら喋る。ひっそり新年会でもしようか、と話していて、ようやく集まれた。僕の二〇二二年は今日から。先輩二人がゲーム実況やTikTokなどに挑戦していたことを知って、帰り道に脅威の検索能力を発揮して見つけ出す。唆したら先輩はその日のうちにPodcastを上げていて嬉しい。こうやってどんどん片手間や思いつきでいろんなものを作ってみて外に出してみた方がいい。だいたいのことは、自分で作ってみた方が楽しい。うまくいくとか相手にされるとかは二の次なのだ。僕は褒められて伸びるタイプだが、褒められなくても生え続けてしまう。
「まあ今日はそんなかんじかな。」
そう言って、柿内はグラスに<水>をなみなみと注ぐ。勢いよく注がれた水は大きく波打ち、その激しさにも関わらず表面張力で溢れずに済んでいるようだ。これはとても不思議で奇妙で怪しいことだなあ。柿内は、そうひとりごちてグラスを置いたというようなことを、僕はこうして書いているのだと僕の右隣にいる人から見て左隣にいる人、つまりそれはこの僕に他ならないのだが、とにかくその人から伝え聞いている。
