お酒と服がどんどん好きになる。ふと気を抜くと飲みたいなと思うし、インターネット上に配置された写真を眺めてあれも欲しいなこれも可愛いなとそわそわしている。どちらもとにかくお金がかかるので、お金がかかる趣味だこと、と白けるのだが、白け以上に楽しいというか、白けなくて済むだけ余裕があるのだろう。幼稚園児のころからずっと自分はお金と縁がないと思って生きてきたから、いまだにこの状況に戸惑う。小学生のころから限られたお小遣いをなるべく使いたくなくて友達と遊ぶときは金持ってそうなやつにおごってもらうスキルを磨いていたし、中学生になってもとにかく同級生と金の貸し借りをするのが嫌でおごられるのはいいが金を貸すのは絶対に拒否するという感じで、よく愛想を尽かされなかったものだと思う。自分の守銭奴性というかケチ臭さはわりと嫌いで、なるべく意識して気前よくふるまいたいと思うのだが、さいきんの僕の買い物はただの浪費ではないかと思う。労働の合間に散歩をして、試着だけして満足する。都市でお金を使わず遊ぶことを僕はもっと発明しないといけない。いまは外出すれば一枚いくらのマスク代がかかっている。服やイヤホンの減価償却はどう計算するのだろうか。きょうの外出に投入された金額はどれほどだろう。つまらない気持ちになる。さっきの上着かわいかったな。本は買うのに、服は渋る。値段だけの問題ではない気がする。でも値段かもしれない。一枚買うのに単行本八冊くらい買えちゃうし、一枚の布が2400ページくらいの紙と等価なのよくわからない。
夕食のあとホットワインを飲んで、林檎も食べて、はっぴー。