この数日うちの愛亀トーニョが陸で寝る。外敵がいないと安心しきっているとなんだかんだで肺呼吸だから楽な陸で寝るのだとも聞くし、水が悪かったりストレスがあると陸から動かなくなるとも聞く。可能性があまりにも両極端ではないか。
背筋すご、朝着替えていたら奥さんが呟いた。みよ、これが日記筋。日記筋は出社前に段ボールを四箱抱えて郵便局に寄ることができる。出社してもあいまに日記を書くことはできるが出荷は朝しかできない。
先週末の随筆かいぼう教室の感想で、オルタナ旧市街さんに「話すように書き、書くように話すひとだ」と評されたことがじわじわと嬉しい。僕はなんだかんだでエクリチュールの権威に弱いところがあり、とはいえ自分がパロールの人間であるとも自覚している。ないものねだりのような感じで、話してないで書けよというか、話せるようなことをわざわざ書いてどうするんだと自分を責めるようなところがなくはないのだ。でもこの感想をもらって、なんというか、そうなんだよな、僕は話すのも書くのもどっちも楽しいし好きなんだよなと納得できた気がする。一日中『異空-IZORA-』を繰り返し聴いている。
春は出会いと別れ。そんな陳腐なことを考える一日。紋切り型の文句というのは諺のようなもので、否定しがたい真実がある程度以上に含まれているものだ。『差異と重複』の売れ方はなんだか変で、早すぎる。僕ってこんなに人気者だったのだろうか。そうは思えない。複数の要素が並走することで妙に大きな波が起こった。そういうことなのだろう。どうあれもう増刷はできない本だし、もっと刷っておけばよかったと思いもしない。足腰のことや、お金のこと、部屋の面積、売れ行きの不安など、どの角度から考えても300を下回ることも上回ることもできなかった。代わりにはならないが『会社員の哲学 増補版』も調子よく売れて欲しい。こっちは1000部でも2000部でも売り続ける気概だ。個人制作の限界を超えたい。いったん送りたいメールもすべて送り、ひとまず返信などを待つ段階に入ったということにする。あとは新規開拓。一息ついてからでいいだろう。
夜になると気持ちがメソメソしてきたので、エーステの歌を聴いて、ココアを入れて飲みながら作業。美味しくつくれたので奥さんにも一口あげると嬉しそうだったので半分こにする。好きな人と一緒に暮らすというのは、しんどさは二倍になり、美味しいものは半分になるということだ。この「しんどさは二倍、おいしいものは半分」という格言は結婚したてのころから二人が好んで繰り返しているものだが、元ネタはなんだろうか。僕たちのオリジナルだったんだっけか。
春になったしと水から引き揚げていたヒーターを入れ直したらトーニョはまた水の中で眠るようになったらしい。まだ冷たかったね。
