2023.04.26

昔話の、海が塩辛い由来を明らかにするやつ。石臼がずっと塩出してるみたいな。あの臼みたいな感じでコーヒーミルからずっと粉が出てきて台所が粉まみれになる夢から覚めて嫌な予感があったのだ。じっさいコーヒーを淹れるのに器材トラブルで台所が水浸しになった。奥さんに夢の話を聞いてもらいながら作業していたら浸漬式のドリッパーがジャムってしまって、助けてくれようとした奥さんのズボンが茶染めになってしまったのだ。

毎年三月にアルバムを作っているのだけど、今年はなんやかやで忙しくてきょうようやく着手できた。結婚記念日の催しとして始めてもうすっかりシリーズ化している。何年目なんだっけ。七冊?アルバムが何冊あるか数えないとわからなくなるから早く仕上げないといけない。

すごい雨で郵便を出しにポストを目指して歩くとびちゃびちゃになった。家系ラーメンを食べる。お腹の調子が悪かったけれどどうしても食べたかったのだ。体にも心にも悪そうな味がして、おいしかった。

写真集の編集画面がもっさりしていて、毎年べつのものを使おうか迷うのだけど探すのが面倒でけっきょく同じところでやりきってしまう。写真のアップロードで二時間、一ページの編集に五分はかかる。選ぶたいへんさよりもこの遅さに付き合うのがたいへんだという気がする。ブラウザがいけないのかと調べてみたがSafariもふつうに推奨環境で、どうしようもない。一年で自分の髪型の変遷の目まぐるしさと、奥さんの輪郭の日々の移ろいの大きさに改めて驚く。一年、盛りだくさんだな。

『ドント・ブリーズ』を流しつつ、なんとか仕上げる。この映画は観るのが遅かった。期待しすぎたな。19時からFGOの発表があって、ネロちゃまの変種であるドラコーの実装が確定した。震える。あと5分でガチャがくる。頭が痛くなってくる。130個以上あった石はあっという間になくなって、とりあえず一万円ぶん買い足して引く。なかなかこない。すごい顔してるよ、と奥さんがいう。きっと苦痛に歪んだ顔をしていた。脂汗もかいていた。無駄遣いしたくない……、そう悲痛な声を上げながら課金して、でもこれで来なかったらもう何万でも突っ込んでしまいそうだった。はじめの一万で来てくれた。ほっとした。召喚の演出が特別で、クラスも特別で、推しが特別扱いされているのはやはり嬉しいものだった。その計らいに報いたいと思うから引けていたとしても一万は払うつもりだったが、せっかく払うからには二枚とか三枚欲しかったところだ。一枚も引けなかったらどうしようかと思った。芯から体が冷たい。動悸もする。推しは体に悪い。あ、と奥さんが声を上げる。最初の10連でしれっとお迎えしていやがる。これで僕が引けていなかったらどうなっていたかわからない。推しは人間関係にも悪い。来てくれたドラコーをはやく大人にしたくてたくさん育てる。絵を変えるにはシナリオを進めないといけないらしい。シナリオはまだわからないけれど面白そうで、これは『Fate/ EXTRA Last Encore』をもう一回みておくべきかもしれない。しかし「喝采なき薔薇」って、見るたびにシュンとなるタイトルだ。ネロちゃま主演は嬉しいけれど、今回はどうにも爛漫な笑顔が咲き誇るさまをにこにこ眺めることはかなわないだろう。暗く、つらく、さみしい道程を歩むのかもしれない。やだな。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。