体が重くて起き上がれない。ようやく縦になったとて、脳みその皺のいちいちに錆だの埃だのが詰まっているような感覚があり、先の細いもので歯石のように掻き出したい、あるいは鼻うがいの容量でじゃばじゃば洗浄したい、そのようなもどかしさがある。もうこの頭はうまく働かないかもしれないな、と寒くて天気の悪い日はいつも怖いが、日が出てくるとすこしずつ回復してきて軽い読みものであれば読めるようになる。試しに『生活フォーエバー』と『思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる』を少しだけめくって、大丈夫、ちゃんと面白がれている、とほっとする、このような白湯のような本というのは常にこれだけ読んでいればいいというものではないかもしれないけれど、何も読めないなというときいちばんの味方でいてくれるからえらい。僕もこのような白湯性の高いものを作りたいような気がしてくる。気負わずいつでも、それこそこちらが絶不調でも読めるようなもの。夕食はシンプルに常夜鍋で、このところ家でも情報量の多いものが作られがちであったから、しみじみとうまい。ほうれん草を一袋、豚こまをひとパックたっぷり食べる。頭を空っぽにしたくて、食後は奥さんとふたり、それぞれノートパソコンをひらいてブラウザ版のスイカゲームで遊んでみる。たしかに面白くて、スコアを競い合うというのをアリバイに一時間半ほどずっと遊び呆ける。操作の単調さと対称的に画面の中はずっと動いてるから目が喜ぶ。ぽんぽこ鳴る音も気持ちいい。YouTube で染ちゃんねるの実況動画を流しながら遊ぶとより楽しい。海賊版のアプリで遊んじゃったという染ちゃんの発言にそれはダメだよつっこんでいたが、ブラウザ版もパチモンだったようで、僕らもまんまとダメであった。でも楽しかったし、楽しすぎるので本物を買うわけにはいかないだろうと話し合われた。
