いい一日だった。
朝起きて、今日はなんだか天ぷらが食べたい。天ぷら屋の大層なやつでなく蕎麦屋の天ぷら。そう決まったら、まずは録音。奥さんとの録音は半月ぶりで、ネロちゃまの話をしよう、と言いつつ、ほかにも話したいトピックとして二人の間にA4の紙を置いて、「ネロちゃま 推し A3 森とクラブハウス」と書いてあって、最後のだけ異質だった。けっきょく最初は最後のいちテーマをオープニングトークのノリで話し出してそのまま小一時間話してしまう。けっこういい感じだったと思う。もともとポッドキャストを始めた理由を再確認した。二十代も後半になったら、自分は権力の側にいると思っておいたほうがいい。いつまでも無頼を気取れるというのはむしろかなり特権的な振る舞いなのかもしれないと、つねづね意識疑ってかかったほうがいい。だからこそみんながふらっと立ち寄って与太話ができるような公園のようなものが欲しいと思って、放置しているDiscord を掘り起こす気になってきた。これは夜にはじっさいそうした。
そのままお茶を淹れつつ、二本目。本題の推し語り。こちらも夜に公開の準備をしつつ聴きなおしていたら、自分の早口っぷりに引いた。奥さんも最後の方は涙ぐみ、神回なのでは、と思った。ポイエティークRADIO は、当たり外れが激しいと思っていて、だからこれは本当に神回かもしれない。楽しく聴かれたらいいなと思うし、楽しいだけではない切実さみたいなのも多分にある。だからこれはきっと神回です。
それから浅草に出向いて、天ぷらを食べに蕎麦屋に。おいしかった。家を出る前に二時間もしゃべっていたから、もう一五時だった。食後のコーヒーを買いにフグレンまで歩きながら奥さんは、やっぱりがっつりおしゃべりすると満足感があるねえ、と言った。録音を始めての弊害は、面白そうな話を録音のためにとっておいてしまうことで、普段のおしゃべりで出し惜しみが発生する。これからはそういうのは気にしないで、どんどん話していこう、と決める。きょうも話し出すと話し出した分だけ話したいことは増えていくのだから、話したい時になんでも話せばいい。ぜんぶ録音して放出する必要も意味もべつにないわけだし。いつも面白いおしゃべりのお裾分けくらいの感じでいいはずだった。主は生活で、コンテンツは副産物だ。そういうバランスを保ちたい。フグレンのカフェラテはいつも美味しい。
押上まで歩いて、書肆スーベニアに。なんだか抱えるほど本を買ってしまった。ちょうど『プルーストを読む生活』は売れてしまったところとのことだったけれど、ご挨拶できてよかった。ユブネの本も買ったので、お隣のあをば荘のことも思い出して、展示まだやってるっけと思いながらスカイツリーへ向かう。あをば荘の展示はお休みだったのでスカイツリー内の三省堂で奥さんはミールスの本を探し、僕は『ゆる△キャン』のキャンプグッズ雑誌を眺めていた。原付がものすごく欲しくなる。それか折り畳み自転車。昨晩から見始めた『ローリング☆ガールズ』の影響もあって、バイクって造形が格好いいなあと思っている。バイクにまでなると二輪免許をとらなくちゃだし、だったら屋根も荷物も他人も搭載できる車の方がいい。今年は車の運転を練習したい。高原とかに行きたい。そんなことを話しながら帰って、夕飯は南インド風。