先日ぶじ校了した『二人のデカメロン』。本文は松井さんがうつくしく組んでくれたので、僕は海青子さんの装画に頼り切ったシンプルな表紙だけつくり、塗り足し部分などの微調整をやり取りしながら入稿する。なんだか間違っている気がして落ち着かない。アップロードした途端に脇汗がすごかったのが根拠だ。
落ち着かないので作業のあいまに今期のアニメをザッピングする。『怪異と乙女と神隠し』、『ブルーアーカイブ』『リンカイ!』『アストロノオト』、『狼と香辛料』あたりをざっと。流しておきながら部屋やシンクの掃除や亀洗い、昼食などを済ませていく。読書や打ち合わせのあいだも音を絞って流していたり、最終的に本を読みながらアニメを流しながらポッドキャストも聴き始めて、とかく無茶なマルチタスクに挑む日で、足裏も汗がすごいし、自律神経がバカなことによる危うい多動といった感じ。こんな日に入稿したのか、とおそろしくなる。
案の定、表紙の仕様が変だよとメールをいただく。ここのメールのやり取りには温度があるんです、と蟹の親子さんに教えていただいて以来、ずっとブックホンを利用しているが、今回も非常に丁寧な文面で心強い。お茶を濃いめに淹れてゆっくり飲む。風呂場で足の甲のツボにお湯を当てて整える。落ち着いてから修正版をアップロードする。ぶじ余裕をもって納品してもらえそう。
夕食をつくる。太刀魚のオーブン焼き、にんじんと玉ねぎとかぶのオムレツ、じゃがいもと新玉の味噌汁、キャベツとトマトの和えもの。甘いしょっぱい酸っぱいのバランスをようやく考えられるようになってきた気がする。太刀魚は食べていたら大根おろしが欲しくなったので食べながらすりおろす。
夜は青木さんとLINE通話で『二人のデカメロン』の打ち合わせ。この本を携えて各地にイベントに出かけていく計画を立てたり、今回は制作費と在庫を折半するので、各本屋への営業ってどうしようかと相談する。実物が手元に届いたら録音しましょうね、と約束して、そのままGoogle Meet で『即興と反復』の打ち合わせに移る。『二人のデカメロン』も『即興と反復』もじつは人にどう説明したものか難しく、でもどちらも面白いことになりそうだった。五分の即興のパフォーマンスと五分のディスカッションを繰り返すという企画において、議論もまたパフォーマンスであるという発言から、あの、僕はおそらくずっと喋ったり書いたりすることになると思うというか、どっちのセクションもそんなにやること変わらないかもですけど大丈夫ですかと訊くと大丈夫とのことなのでとことん多弁でいこうと思う。うるさかったら黙らせてくださいね、と頼んでおく。これさえ確認できれば安心である。
合計で二時間半ほどオンラインで打ち合わせているあいだ、奥さんがパイナップルを切ってくれていたので、おいしく食べた。パイナップルっておいしい。