神経が昂っていたのだろう。夜中に目が覚めてうまく寝直すことができなかった。午前中は虚ろ。昼は誰に対しても朗らかなタメ口が気持ちのいい店員が差配する蕎麦屋でカレー南蛮。夕方ようやく昨日の日記を書く。
夜は奥さんとシネコンで待ち合わせをして、月末で期限が切れるU-NEXT のポイントで『ゴジラxコング』をみる。最低の映画だった。話としての面白さなんて期待していないし、バカのジャンクフードを求めているのでバカであることに憤るような愚行はしないが、バカとして不徹底であるというか、金をじゃぶじゃぶ使ってバカやる娯楽大作として致命的に駄作だった。楽しくないんだもの。まずカメラがだめ。寄りすぎ。距離感バグったうざいやつ並みに被写体に近づく。だからアクションが撮れていない。カメラだけが無駄に躍動している。カメラは動くものを撮るから面白いのに、一緒に動いちゃうから捉えられる動きが相殺されてしまう。お約束としてごみのような人間パートは、ご褒美としての怪獣プロレスへの期待によって流されていくものであるが、提示されるのは死んだ運動でしかない。がっかりだ。がっかりだよ。プロレスの配信は、でかい肉体のぶつかり合いをどのような距離と画角で捉えればいいかという文法がきっちり確立されていて、本当に見事であるということがしみじみと実感される。アクションを撮るカメラが、しゃしゃって動くな、うざってえな。見たいものを見せてもらえない苛立ちが募るからエル・ファンタズモみたいなやつがかける音楽もことごとく寒々しく響く。切り詰められた人間パートすら冗長に感じる。そもそもふんだんなコングパートがカメラのつまらなさによって怪獣パートではなく退屈な人間パートに堕しているから、けっきょくほとんどが退屈な時間である。おれが見たいのはでっかいスクリーンでみるでっかい動物の身体と運動であって、でかでかと映し出される動物の顔じゃない! 化け物の肉弾戦に巻き込まれて破壊されるビル群であって、速すぎて毛玉にしか見えない背中のアップや画面中を覆う砂ぼこりじゃない! 大袈裟でバカバカしいプロレスを見せろ! あと、タッグマッチの相手がしょぼすぎるよね。社会性を強みにするなら恐怖政治でなくてカリスマで統治しろよ。ヒールよろしく多勢で向かってくればまだ面白かった。
駄作の悪口を言いながら飲む酒はおいしかった。