2024.07.15

午前中は休養。ジャンプを読みながらFGO の周回をこなすなど、ひたすら無意に過ごす。朝食はドーナツ。午後になるとまとまった時間をとって文芸誌を集中して読み込む。十四時くらいまでそうしていて、せっかく雨も降っていないし、そのへん歩いてみようかと二人で家を出て、四時間ほどかけて近隣を散歩。住宅街を歩き、畑も多く景色が開けた向こうには森。背の高い建物がないから風の抜けもいい。緑と青の組み合わせは夏だ。この三連休あたりから学校も休みなのだときいた。ひまわりが植っていて、咲いていたり咲き終えていたりまちまちだった。評判のパン屋さんでずっしりとしたパンを買って、どれもおいしそうだから沢山えらんだ。市の境を越えたことを、安全運転ありがとうございました、と標識が告げていて、ここから先は安全を保障されないのだなと思う。裏側から見たら、安全運転よろしくお願いします、とあって、内と外の意識の強さに笑ってしまう。内側を守りたいという意識は、外側への不信や冷淡さを伴っている。スーパーで麦茶を買って、ごくごく飲む。ファミレスで昼食でも夕食でもない、あるいはどちらも兼ねた食事をして、足を休める。うとうとしてきて、雨が降ってきそうだと思う。図書館の位置を確かめて、気になっている食堂の所在もつきとめておく。家を出てからほとんど同じ道を二度は通らずに、ぐるっと大まわりして歩いた格好。楽しかった。奥さんとこうして長い散歩に出るのは久々な気がして、こうして歩くと僕はあなたへの懐き度が上がるような気がするよと言うと、犬の散歩じゃん、と応えられる。新しいお風呂はアプリで遠隔操作ができる。玄関を開けるとちょうど沸いたと機械が告げて、おおーと感心する。湯船に浸かっていいきもち。夕食は買ったパンで軽めに済ませ、食後は思い思いに過ごす。僕は昨晩から読んでいた文芸誌掲載の小説を一本読み終え、奥さんの様子を伺い、もう一本読んだ。今月はもう間に合わないかもしれないと悲観していたけれど、こうしてちゃっかりほとんどの中編や長編を読み終えている。すでに規定の文字数は書けそうだったし、あとまわしにしている掌編なんかも読めてしまうだろう。だんだんとふだんのリズムが取り戻せてきているな。この家はまだ清潔で、長らく奥さんを悩ませた腕の肌荒れはけろっと治っている。僕の顔もなかなかラブリーで、引越し前は拾われてきたばかりの動物のようだったのが、いまではすっかり部屋飼いの顔をしているのだそうだ。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。