2024.11.04

ひがしんアリーナでDDTの無料興行がある。十三時開演で、十時から整理番号の配布がある。朝早く起きて向かうつもりだったけれど昨日の疲れで寝坊して、それならと諦めがついてゆっくり朝ごはんを食べ、衣替えついでに部屋をすこし片付け、洗濯をしてから家を出た。おかげですっきりした気持ちで出かけられる。台風一過のような快晴で、汗ばむほどだった。電車ではきのうの文化系トークラジオLife を聴く。

引越し前はよく行っていた錦糸町も久しぶりだった。オリナスで映画を見たり、たこ焼き食べる時に見かける大きな体育館がひがしんアリーナ。道すがらチェックしていたところによると、整理券は四桁まで出て、もう立ち見も出ているらしい。急いで来たとしても番号は先着順ではなくランダムだったというから、四桁入っているのかは定かではないけれど、盛況なのは間違いない。案内が不親切でよくわからないまま四階まで上がるととつぜん会場で、もう第1試合の中村圭吾 & 石田有輝 vs 夢虹 & 須見和馬が佳境である。むっとした熱気が会場に篭っており、そうか、冷房効かなそうだもんなと思う。スウェットを脱いでTシャツ一枚になる。奥まで歩いて行っていちばん端っこのブロックで立ち見。第2試合のポコたんが、よそのゆるキャラどもをボコボコにする絵面を楽しみにしていたけれど、政治的配慮でぬるい展開であり、不満。このあたりで席が空いて、並びで座ることができた。第3試合は佐々木大輔 & KANON & MJポー & デムース vs 遠藤哲哉 & 飯野雄貴 & 高梨将弘 & 高鹿佑也の8人タッグマッチ。KANONでけえ。デムースの見た目がとても好き。怖くてユーモラスな巨漢たちを楽しみ、第4試合は大鷲透 & 平田一喜 vs 大石真翔 & 高尾蒼馬。この前涙の退団をしたばかりの大石があっさり出てきて笑う。平田が、あのなんていうの、電動台車みたいなやつを巧みに操って颯爽と現れて、ああ、映像で見ていると舐められがちな平田であるが、こうしてみるとめっちゃスターなんだなと納得する。トーキオー!と踊り出した途端にぶちあがってしまった。第5試合の正田壮史 vs イルシオンは、イルシオンの保護者たちがきゃぴきゃぴしてた。第6試合、秋山準 & 納谷幸男 & 川松真一朗 vs 小島聡 & 彰人 & アントーニオ本多。アントン! セミファイナル上野勇希 & 勝俣瞬馬 & To-y vs HARASHIMA & 男色ディーノ & スーパー・ササダンゴ・マシンはTo-y が不憫だった。生で見るとササダンゴマシンはとっても大きい。ここまでの試合で、無料興行は初見者への顔見せという面もありつつ、有料興業ほどのサービスも必要以上にはしないという塩梅で、全体として楽しくはありつつ、もっと見たい、と思わせる内容でちょうどよかった。お金落とさせてくれとは思うけれど、無理にでもグッズを買わねばとまではならないくらい。そうではなく、次の興行に行けばいいのだ。後楽園での飯野・石井のシングルマッチは見に行きたい!

そしてメインイベントだ。第83代王者青木真也、四度目の防衛戦。挑戦者はクリス・ブルックス。奥さんはクリス贔屓で、僕もこの前池袋で目撃して途端にメロったから、奥さんがその姿を認めた途端に、格好いい!と一緒に華やいだ。このスタイルであれば何を着ても似合ってしまうのではというほどに、洋服が似合う。寝技メインなので斜めからの遠景だと見えないシーンも多かったけれど、これは流石に満足な内容で、試合開始からすぐさま場外にもつれこむのもよかったし、机も真っ二つだし、クリスはよくやったな、そろそろ青木にばらばらにされる頃合いだなと思っていたらタップ勝ちをもぎ取ったのでうおおおと興奮した。奥さんは、オクトパスストレッチで獲るって信じてた、と嬉しそうだった。そうかあ、獲るんだねえ、と話しながらオリナスのあほやでたこ焼きを食べてさくっと帰宅。

夜道をエーステライブの最終日の配信を確認しながら歩き、家に着いてからは奥さんがそれを見届けている間に三日分の日記を一気に書くぞ、と書き始める。もちろん間に合わず、奥さんがフライドポテトを作ってくれる。めちゃうま。食べて、一昨日と昨日のを書き終え、今日のを書きながら新日本の大阪興行を追いかけていく。豚汁もできあがる。食べながらプロレスを見る。食後は録音と配信準備。忙しいね?

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。