午前中に『KCIA 南山の部長たち』を観る。昨晩の電車では本が読めそうになかったので前半を観ていた。こうやって細切れに映画を観ることを自分に許せてしまっていることがいまだに少し嫌だ。『アシュラ』の検察官がまた怖さとみっともなさを兼ね備えた官僚で出てきて、この人は『哭声』もそうだったけれど。ふっとすべてを諦める瞬間の表情が絶品。クァク・ドウォンというらしい。朴正煕大統領のつねに血管が静かに浮き出てる所作もとても恐ろしく、すばらしい。イ・ビョンホン演じる金載圭は映画では能のシテのようなもので、抑えていればいるほど映える。イ・ビョンホンを見るの初めてだったかもしれない。
作業中のお供は娯楽に徹したものをと思い、『オオカミ狩り』。期待通りしょうもない映画だった。血糊を二トンくらい使っているらしい。ばかだ。MacBookで映画を見ているとキーボードに猫が乗る。的確にタッチパッドにお尻を乗せて十秒戻しや別タブに遷移を行うから感心する。それで話がよくわかんなくなった部分もあるが、たぶんあまり大した話はなかったはず。
退勤後は『ソウルの春』。スクリーンで見ていると猫の妨害はそこまでないが、遊び足りなくて不満げに絡んでくるので猫じゃらしで遊びながら観る。『KCIA 南山の部長たち』のラスト直後から始まる映画だ。今回は文京洙『新・韓国現代史』をお供に、ベースとなる現代史を意識してあれこれ観ている。だからこの映画が最悪の結末を迎えることも、それが『タクシー運転手』に繋がることも知っている。今回は、次に観る『1987、ある闘いの真実』で〆るつもりだ。『ソウルの春』は『アシュラ』と同じ監督らしい。というか全斗煥が『アシュラ』の最悪眼鏡市長と同じ人だ! それどころか、『哭声』の祈祷師もこの人でもあるらしい。ファン・ジョンミン。この俳優はすごい。あと、さっきまで朴正煕だった人が、暗殺されて早々戒厳司令官になっていたのも可笑しい。軍部の横暴を防ごうとまともなこと言っていて、さっきまでクーデターによって二十年近い独裁政権を布いていた張本人が何言ってるんだと思ってしまう。しかし、こういう権力の腐敗をエンタメとして仕上げる胆力には驚嘆する。冷徹な現実感覚と娯楽趣味、あるいは怒りと面白さは両立してしまう。
