明け方に目が覚める。寝直せそうになく、そのままKindleで本を読み出す。六時ごろ猫が呼ぶので書斎に出ていき、撫でくりまわす。膝に落ち着いた頃から読書を再開する。自動トイレがピーピーうるさく、なぜか綺麗な猫砂まで全部排出してしまう。きのうの掃除や砂の取り替えがいけなかっただろうか。再起動などあれこれ試すがどうにもならない。ひとまず風呂に入ってさっぱりする。それから再びトイレの設定に苦心する。奥さんが起き出すまでに原稿を終わらせるつもりが、猫のトイレと格闘していたら朝が終わった。げんなりだ。
朝食を食べながら一日の計画を立て、午前中は原稿に集中することに。提示されている枚数の倍近くになって終える。これどうすんだろ、削るのかな。なるべく圧縮してなおこの字数なのだが。毎年恒例の柿内賞の選定作業に着手。待ちくたびれた奥さんが正午十分前にやってきて、思わず話しかけてしまいお金の相談が始まる。もうものを書く状態ではなくなってしまい、そこで断念。たかが十分だが、この十分さえあれば、と存分に他人のせいにする。眠くて不機嫌なのだと思い至り、お昼に食べるビリヤニを選んだ後、すこし仮眠をとる。それでずいぶん元気。昨年に引き続きINDIA GATE のビリヤニおせちを取り寄せた。まずは帆立ときのこのやつと、鰤大根のやつの二種。たいへんおいしい。「超人・石森太二は無茶をする」の後半を見て、石森は格好いいなあ。
派手な上着を着てスーパーに買い出し。奥さんが夕食の仕込みをはじめる。僕は「斎藤哲也×山本貴光×吉川浩満 「人文的、あまりに人文的」な、2024年人文書めった斬り!」の続きを見ながら柿内賞の選考。千を越える人文書のリストを見ていたら一冊選ぶ必要はない気がしてきて、候補作全部を大賞としたうえで、分裂座談会を描き散らかす。もう書けない気がしていたけれど、書くと書けてしまうものだ。座談会の最中に、この本はぶっちゃけ選外でもよかったな、とか、普通に一冊に決まってしまったな、とか気がつくこともあったが、気がつかなかったことにする。あとで脱字が判明するが、たぶん三回ほどキーボードに乗ってきた猫が消したのだと思う。書いている間はあんなに邪魔してきたくせに、書き終えると、人間と一緒に居眠りしてしまう。
夜は同じくINDIA GATE の蕎麦屋のチキンカレー。めちゃうま。出汁の香りがすごい。コリアンダーの七味を合わせると爽やか。昨年のベストバウト「ドッグパウンドケージマッチ」を再見。当時はまだ顔と名前が一致していなかったが、全員わかる今見るとまた味わい深い。ヘナレの顔色の悪さにだけ、笑えない心配がある。ほかのみんなはどれだけ流血していてもどこかユーモアがある。
膝の上の猫が熟睡し、どんどん温かくなる。おもわずスウェットを脱ぎ半袖一枚になる。小腹が空いたのでクラッカーにペーストを塗って、ブランデーのソーダ割りで楽しむ。日記を書くあいだ、奥さんはカーペットの上でストレッチをしている。この日記を奥さんが読むあいだ、僕はストレッチをしよう。
