2025.02.09

朝の夜みだ。いまのところ夜でも鳥でもない。淫らかも微妙。時系列もあっちこちに飛ぶし、こちらと共有してる事項の確認もなしに容赦なく話し始めるし、話の下手な人の饒舌なおしゃべりに根気強く付き合うような楽しさがあり、これこれ、こういうのが好き、という感じ。僕はとりあえず相手を信じて一生懸命話を聞く、というのが楽しくて小説を読んでるのだと思う。

朝の時間を自分のものにするよさに目覚めて以来、一日のうちなるべく他律的に規定される時間を減らしたいという気持ちがもたげてきて、車あったらいいのかもなあと初めて思いはじめているけれど、使用頻度の想定を鑑みるに、たぶんタクシー使うようにする方が安あがり。

九時から家の半年点検。建築士のSさんが壁の塗り直しや階段の滑り止めワックスがけなどを行ってくれる。僕たちは二階の流しにタイルを貼るというのをやりたくて、接着剤と目地をいただいて、奥さんが試行錯誤した配列でタイルを並べていく。まずは接着剤でポジションを決めて、よしというところをハンマーで叩いて圧着する。タイルの裏に灰色の接着剤をヘラで伸ばしていくのだけど、塩梅がけっこう難しく、すぐに具を欲張りすぎた餃子みたいになる。二時間ほど乾かしているあいだに、お昼を外で済ませる。食べているうちにお酒が飲みたくなったけれど、まだ作業もあるし、けれども、お店の温かさと満腹で酔っ払ったように眠たくなってくる。午後の作業をしてもらっている間、がっつり一時間は昼寝してしまう。びっくり。タイルの隙間を目地で塗り込めていく。仕上げに目地の上から薄い貝殻みたいなタイルを押し付けてまた乾かす。目地は、ついつい小さくちまちま埋めてしまったけれど、大きめのヘラでがしがしタイルの上から伸ばしていって、あとからスポンジや布でタイルを綺麗にしていくほうがよかった。ベージュの目地で、もだっとしたテクスチャがトップスのケーキみたいでチョコが食べたくなる。いい出来で、ハイタッチする。手を動かして達成感を得ると気分がいい。Sさんは作業の合間に猫の相手もしてくれる。けっきょくすべて終わったのは十九時前で、一日仕事だ。ありがたい。三人でコーヒーを飲みながら、今日の作業確認と、そのほか気になることを共有する。

夜も外食。ビール二杯飲む。ごきげんで帰宅。家のことをしっかりやって、いい感じに整っていくのはとてもよくて、先延ばしにしていた段ボールの片付けも勢いに乗せて済ませたところ、体感として一部屋増えた。もっと早くにやればよかったとも思うけれど、このタイミングでなければやれなかったのもわかる。こうやってちょっとずつ手をかけていけたら楽しいだろう。お風呂に簡単に入って、ぽかぽかする。昼寝のおかげか夜更けでも余裕だけれど、明日も早起きだからやや不安。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。