雨と雷。猛烈な眠気。猫大暴れ。指を噛んでくるのでこちらも歯を剥き出しにして同じ顔して威嚇したら膝からずり落ちて掘り炬燵の中へ落ちていった。ごめん。
昨日の日記を書く気が起こらず、奥さんに食べたものや行った場所の列挙をお願いする。楽しかった日を楽しい日記にするのは面倒で、だいたいその日そのもののほうが面白いし楽しい。それだと書くのがただ億劫になる。日記のことだけ考えれば毎日は面白くもなんともないほうがいい。面倒くさい。もういっそ代わりに書いて、とお願いすると、代筆したら日記じゃない、と断られた。嘘を書くのはいいけれど、代筆したら日記ではない。そうか、と思う。嘘もまた、この「私」として書かなければならない。
奥さんの残したログをもとに、お風呂で日記をなんとか書く。書いていれば書く気になってくることが多いが、今日もそうで、しかしこれは奥さんの蒔いたパン屑を拾いながら日記として整形していく楽しさで、文字起こしのあとの構成にちかい。さいきんは散らかすよりも整理整頓のほうが面白い。そういえば奥さんは今朝から多動で、どんどん家を掃除してきれいにしていった。勢いに気圧されて、僕は労働に逃げ込み、頭が痛くて昼寝もした。奥さんはとびきりのステーキを焼いて、すてきなポテトの付け合わせまで用意していて偉大だった。この日記はその偉大なる御方の敷いたレールをなぞるようにして書かれた昨日の延長線上にある。讃えよ。