2025.08.27

ヒトらが臥せっていても猫には関係ないので、遊んでもらえないのが不満だ。だからすごく鳴いて抗議する。きのうは罪滅ぼしに二日分たっぷり遊んだ。今日も二階の布団をたたんで確保したスペースで遊んだ。海老天のねこじゃらしに飛びかかり、ヒトの手からひったくると、一階で寝ている奥さんに見せびらかそうと運んでいってしまう。一階のヒトが弱って起き上がれないのを確認するとくわえたまま戻ってきてまたニャーと言う。猫はものを咥えながら話せるのだな、と二階のヒトは思う。それで海老天を受け取ってまたじゃらしていると、ひったくられて、ひったくった猫は一階で寝ている奥さんに見せびらかそうと運んでいってしまう。海老天を咥えたままニャーニャー喋り続けていて、今この家でもっとも多弁な生き物だ。ふたりとも倒れたので、もう寝室を分ける必要もあるまい、と今夜から奥さんが二階にあがってきて、それまでヒトが分散していたから寝る場所を決めかねていたルドンも、二階で落ち着き、それぞれのヒトにのしかかり、足元のタオルを巻取り、つむじをふんすふんすと嗅ぎ、誰よりも早く寝息を立て始めた。

病院に行くついでに奥さんは買い物を済ませてきてくれた。すごい丈夫だね、と話す。いやいや、わたしは毎月生理があるぶん、しんどくても動かなければいけない時は動けてしまうだけだ、それに比べてあなたは体調を崩すとまったく何もできなくなるから、わたしが怠さを押して動いていると、なんとなくまだ動けるなら大丈夫、というような予断をもつようなところがある、しかしそれは経験の差による想像力のちがいにほかならない、そう指摘されて蒙がひらかれた。たしかに、僕にとって体調の不良とは、動けないことであり、動けていれば大丈夫と思い込んでいるところがあった。奥さんが買い物に行ったからといって、大丈夫なわけがない。それはそれとして、僕はしんどすぎて病院に行く体力がない。

いろいろ書いておこうと思ったことがあったはずだけれど、どうにもぼんやりして散漫だ。いまも、何をかけていて何を書けていないのだかもはやなにもわからないまま書いている。譫言だ。それはいつもか。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。