2025.10.12

遅めに起き出し、朝からべったりくっついてくる猫を甘やかして過ごす。冬毛になってきて、胸毛がふくふくで可愛い。昼前から録音。本編を二時間半録ったあと、録音でするには適していない話をさらに一時間半くらいする。シリアスなおしゃべりだが膀胱の限界で二度ほど中断する。それでもシリアスさを損ねないように気をつけて、終わった頃にはもう四時前。いちど空気を入れ替えたいと外に出て、ファミレスで食事。これはなにご飯だろう。近くのテーブルではハイボールを何杯も重ねた酔客が真剣に話し込んでいて、おじさんふたりでこうも益体なく、肯定も否定もないまぜにして気持ちのいいおしゃべりができるんだな、と嬉しくなった。内容はそこまで面白くなかったし、想像力が欠如しているような言動も目立ったけれど、べつに二人が楽しければいいのだし、面白くなくていいはずだった。

店を出ると気持ちのいい気候で、奥さんが珍しく少し歩きたいと言うので喜んで散歩する。いつもと違うスーパー、いつもと違う道を探索して、一年以上住んでもなお、すこし道をずらすだけでまだまだ新鮮な風景がいくらでもある。こっちのほうが土地の値段がずっと高そうだね、などと話しながら、スーパーの野菜を眺め、でもまあどこも高いな、と思う。あれこれと店をひやかし、いつものスーパーでごま油を買い、コンビニで悪税を払うと、もう暗くなり始めた空の雲が暗いピンク色に染まっていて、ホラー映画みたいな雰囲気を醸し出していた。ドラッグストアでヘアスプレーを買うと、もう日が暮れる。釣瓶落とし。釣瓶の落ちる速度の実感がまったくないのだが。

ボードゲームアリーナのプレミア会員になって、『キャット・イン・ザ・ボックス』、『スカイチーム』で遊び、どちらも面白かった。とくに『キャット・イン・ザ・ボックス』のピーキーさがかなり好み。『スカイチーム』は最後の最後で墜落した。仕上げに『AZUL』で遊び、きょうもほとんどダブルスコアで負けた。マジでこのゲーム向いてない。最後のラウンドが始まる頃にはもうすでに勝てる目がなかった。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。