今月に入ってからろくに動けていない。福岡に始まり、公演後の虚脱感で一週間ほどぼんやりし、そのあと風邪をひいてこちらも一週間くらいぐずぐず寝込んでいたから、ほとんど半月のあいだ何もできていないという手応えがあるというか、手応えのなさがある。ついこの前が福岡という体感だが、つまりこの二週間がなにも掴みどころのないままつるつると滑っていったようなもので、ひとはここまであっという間にこれだけの時間を潰すことができてしまうのだと清々しい驚きがあるということもなく、ただただ無為に潰された時間が何にもならず圧縮された乏しさとしてあとに残り、どこかタイムスリップしたような心細ささえある。もう十一月が中盤とか、どうなっているんだ? いや、じっさいはプロレスや観劇に出かけたりしているはずなのだが、どうにも日々がうまくはまっていないのは確かで、この間、返信も滞りがちだったり、起きれなかったり、いろいろとよくない。明日こそは無理にでも出社してリズムを刻み始めたい。あすは外出できただけで百点だ。そう言い聞かせながらきょうはずっと引きこもっていた。『ポーカー・フェイス』の第1シーズンの最終回を見て、最高だな、と嬉しくなり、そのままの勢いで第2シーズンの一話を見て、どうだろうな、微妙かも、とすこし曇る。黒沢清の話を読んで見たかった『ヒストリー・オブ・バイオレンス』を見て、これを前髪の映画としてみる黒沢清の目はやはり格好いいなと思い、『ファイナル・デッドブラッド』を見てあまりの面白さにはしゃぐ。ホラー映画のオリジンを描くものって面白くないに決まっているのだが、理由付けなど無粋なことはせず、ただ起点を示すだけに留める態度によって面白さを保ち、さらにはシリーズを追うごとにやや失調しかけていた、日常の何気ないあれこれが死の恐怖に読み替えられていく滑稽な深刻さに回帰していてたいへん素晴らしかった。奥さんがずっと労働していて、その不満がこの数日噴出してしまうのだが、これは僕が暇なのもよくない気がする。寝る前、Mrs. Fictions の短編の映像をYoutubeで二人で見て、とくに「お父さんは若年性健忘症」がよくて、機嫌がなおる。助かった、と安心して眠る。
