2025.12.11

元気の足りない日は、まずはクソみたいなゾンビ映画から。『アメリカン・ゾンビランド』はその点とてもよかった。劇中でもクソみたいなゾンビ映画を撮っては落選し続ける在野の映画作家が、現実で起こるゾンビパンデミックで一念発起してリアルなゾンビ映画を撮るという、それ自体はとても面白そうな設定でありながら、スベり続ける寒いギャグ、お下劣、劇中劇のあえてのチープさの方がまだましかもしれないというテンポの悪さ。それでいて、超肥満体の疾走に始まり、その巨体がゾンビになって終わるとか、見所もある。半分くらいほかごとをしながら流しておいて、もうちょっとマシなの見たいだろ、という気持ちが湧き上がってくる。シンガポール初のゾンビ映画という『ゾンビプーラ』を続けて、これはけっこうしっかりしていて楽しい。徴兵制との距離感とか、知らない土地の社会や文化を透かし見えるようなところもあるが、ゾンビが出てくるまでのうだうだ仮病で休もうと画策するところがいちばん楽しかったかもしれない。けっきょく生き延びるために軍の規範に内属していくという過程が描かれていくので、個人的好みとしては失速していく。

お昼はオムライスを作る。重たくて家でしか読めない『奔放な生、美しい実験』を百頁ほど読む。まじで最高の本。小一時間散歩して、また本を読み、疲れたら閉じて『マルコムX』を見ようとしたら二〇〇分でその時間と体力はなさそうだったので『ブラックパワー・ミックステープ~アメリカの光と影~』を真剣に見る。やっぱりアンジェラ・デイヴィスは読みたいな、と思い、『監獄ビジネス』の古書を探して注文する。ついでにリストにしていたコーネル・ウエストの諸作も注文しておく。

奥さんの退勤を待ちながら、イーライ・ロス「ヒストリー・オブ・ホラー 」を見始める。初回がゾンビ特集だったから。やっぱり『ウォーキング・デッド』は見ておかないとかな、と初めて思う。いまだったらドラマもけっこう見るようになったし、いける気がする。でも来期はアニメも気になるの多いしな。季節ごとに、アニメか海外ドラマかどっちかしか付き合えない気がする。スティーブン・キングが話す。ホラー映画というのは駄作であっても最高なんだ。そしてキングが『マニアック』への愛を語り出したところで、イーライ・ロスがはにかみながら口を挟む。じつはプレゼントがあるんだ。手渡すのは『マニアック』の冊子。うわあ、こりゃすげえ、手が震えてきちゃったよ、いや、なんとお礼を言えばいいか…… カメラに向かって、これは決してやらせじゃないんだよ、とお茶目に説明しつつ、くしゃくしゃの笑顔を見せるキングがとびきりチャーミングだ。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。