昼まで寝ちゃう。きょうは人間やめますと宣言して本の虫になる。阿部謹也『中世賤民の宇宙』を読み終え、読書メモを昨日の日記ということにしてしまう。真木悠介『現代社会の存立構造』の第一部を読み、大澤真幸の改題から入ったからかやけに読み易い。以前触った時はこりゃかなわんなと思ったのだが、これは文章の密度とこちらの体調の相性もある。人間をやめた時にしか入ってこない緊密さというのがある。散漫な日々には冗長な文章しか挿入できない。第二部はまた今度にして、『HAB「新潟」』。松井さんが十二年前に作った本。先日北書店の佐藤さんが、十年一昔とはよく言ったもんで、と話してくれたように現在ではここに載っている書店でそのまま残っているところはほとんどないそうだけれど、この本をきっかけに松井さん自身も蔵前で本屋を開き、そこに惚れこんだ僕が通い、いつしか本を一緒に作り、いまも「H.A.Bノ冊子」で書かせてもらい、連載仲間として友達になった青木さんと新潟であたらしく本屋を始めた井上さんのこんこん堂でトークをさせてもらうその日に北書店に行った、その巡り合わせにあらためて途方もない気分になる。『HAB「新潟」』の奥付けにはこうある。
その一歩を踏み出して。だれもがファンから参加者になる。
僕は参加者になりたかった。
本。
出版。流通。
販売。 版元。
取次。本屋。 その全てに参加者であること。本が売れないと誰かが言う。
仕組みが悪いと誰かが言う。
でも、何も言わない人たちがいる。
総じて、参加者は。
何かを言う前に手を動かす。
そこに価値を感じるし、そうなりたい。
だから、何かをしている人たちに、話を聞きにいった。
僕も参加者になるために。いままで何かをしてる人も。
これから何かをしたい人も。この本が誰かの手を動かす力になれば
こんなにうれしい事はない。2014年2月 松井祐輔
ただ本が好きだった僕が手を動かし始め、参加者となれたのはあきらかに松井さんのおかげであるが、最近は何かを言ってばかりで手が止まっているんじゃないかとも後ろめたい。手を動かさなければいけないな。十年以上前に採集され、文字の形に留められたことばを受け取りながら、もういっちょやるかあという気分を高めている。黙々と手を動かす時間が必要だ。そのためにはまず黙らなければいけない。口を止めて手を動かす。まず黙れということだ。もう結論は出たのだから無駄に文字を費やすことをせずさっさとキーボードから指を離し、きょうのところは早く寝るべきだ。あすはまじで起きないとやばいんだから。もう駄弁を繰り出している場合ではない。黙って寝ろ。それから手を動かせ。わかったか。寝ろ。なんでまだ書こうとするの。寝なさい!
