明け方五時ごろに目が覚め、今日も日中は奥さんがいないしな、と今日のお出かけについて調べ始める、新潟のTADAYOIのInstagramで知って以来ずっと欲しかったBLANKMAGのキャップが銀座のドーバーストリートマーケットのポップアップで買えそうだとわかり奥さんと一緒に家を出て昼までに見に行って気分次第で夕方から奥さんと合流するのも面白そうだと考える。ちょうど奥さんも目が覚めているようで話しかけると疲れが溜まってるから今日はなしにしたと宣う。そうなのか。奥さんはまた寝息を立て始め、僕は先ほどの考えが捨てきれずになかなか寝つけず、けっきょく昼まで寝てしまう。お風呂に入り、蕎麦をつゆからのんびり作り、もうすでに一四時過ぎ。あと一時間ほどで夜まで降り続ける雨が始まる予報。奥さんはずっと家にいる。ほとんど出かけたくなくなる要素しかなくて、でもどうしても帽子が欲しくて、それだけのために往復三時間以上かけて銀座まで行くというのは明らかにナンセンスだったけれども、えいやと出かけてみせた。こういうとき、大体は諦めてだらだら過ごし、あっという間に夜が更けて、もう寝るのかと苦い気持ちで床につくのがこれまでだった。ただひとつの、でもちょっぴりときめく用事のためだけに労を厭わない選択を取れたことに自分で驚く。週末のどちらもを単独行動に使うというのは一緒に暮らし始めてから初めてかもしれなかった。そもそも週末に休めること自体がほとんどない時期が長かったわけだが。行き帰りの電車でほとんど読み終わったのが『ビデオランド』だったのもよかった。わざわざ出かけて行ってモノに囲まれること、自分の足で自分の体を運びラックや棚の間を探索すること。ドーバーは鮫君に案内されて歩き方をちょっとだけ知ったから臆せずひとりで逍遥できるようになっているし、みんな服が好きそうで楽しそうにしているのでいい。本屋は居合わせた客が何を読んでいるのかわからないが、服屋は何着てるのか見ればわかる。だから並んでいる服だけでなく遊んでいる人たちの着ているものを見ているだけでも学びがある。客と店とが相互に関係しながら作り上げる文化のありよう。理想のビデオランドとはこういう場所のことをいうのだろうなと空間と商いと文化形成についての考えが混線していく。さくっと各階を眺め、触り、まっすぐ帰宅。配信でBEST OF THE SUPER Jr. の決勝戦を見守る。夕食はおとといのポトフがシチューになる。すっかり録音を忘れていたけれど奥さんが思い出させてくれて、『ビデオランド』の話からレンタルビデオの思い出なんかをとりとめもなくする。
