2021.05.03(2-p.53)

無料公開されていた今週の「週刊だえん問答」がなぜだか非常に響いてしまって、衝動的にQuartz Japan の購読を始めた。レイシズムや資本主義といった構造やシステムを問題として前景化することに意義を感じられた去年の状況と違い、すっかり構造やシステムの限界が可視化されたいま、解決すべき課題がデカすぎて「何から手をつければいいんだっけ」と目下のイシューがふわっとしちゃっている、それでも問題だけは明確にわかった気になってしまっているから余計に次のアクションに繋がらない、そういう漫然とした閉塞感がいまはある、というような冒頭の話に、多分僕はいまのしょんぼりした気持ちの原因を言い当てられたような気持ちになったのだ。こういう天声人語的なというか、時事を情動ベースでなくちゃんと知性で論じようとするコラムはいいなあと思い、ニュースを購読するという新しい娯楽を始めて見る気になったのだ。

午前中は弟とZOOM でおしゃべり。ポイエティークRADIO の録音も付き合ってもらって、過去最高に勉強になるというか、一聴衆としても知的好奇心をくすぐられるいい回になった手応えがある。絵画における「受胎告知」についての雑談。僕は相変わらず寅さんの喩えで合いの手を入れていて、そろそろ別の引き出しもメンテするべきだった。これはシリーズ化したい。

昼は話題のパンケーキを美味しくいただいて、奥さんは美味しいスフレパンケーキを食べると必ず「これは美味しい空気」と言うことになっている。奥さんは今日も、これは美味しい空気、と言った。

それから蔵前に出て、NAOT の靴を買った。おまけで『地球に靴で乗る』もいただけて喜ぶ。当たり前と言えば当たり前なのだけれどループ舎の本が揃っていて、スリップに印字されているH.A.B のロゴになんだか嬉しくなる。NAOT の靴は評判通り気持ちが良くて、さっそく履いて浅草まで歩く。フグレンでカフェラテとレモネードをもらって川まで歩く。

たけのこスカーフさんが曲線に出かけたツイートをされていて、『プルーストを読む生活』を見つけて嬉しくなって写真を撮らせてもらった、と書かれていた。自分の書いたものが、誰かにこんなふうに嬉しがってもらえるようなものになっている、そうやって大事に大事にされていることが嬉しくて少しうるっとする。

寝る前はYouTube でヨガ。その予定だ。これを書き終えたら今日もちゃんと体を動かす。たぶん、きっと。いや、ほんとに。

目下の僕の関心は霊衣縫製にヴィナスのシルクの解放権が実装されるか否かということだ。

柿内正午(かきない・しょうご)会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。