昨晩は湿気がひどくて、いい加減羽毛布団は限界だった。中途半端に開いたままの遮光カーテン越しに空が白んでいくのを10分おきに確認するように目が覚める。その度に腕や頭をガリガリと掻きむしっていていたり、奥さんの脇腹に頭をめり込ませたりしていたことに気がつく。さぞ奥さんも寝苦しかろうと思うも後で聞くとぐっすりだったようで、何度か脇腹にめり込む僕の頬に寝返りと共に裏拳を食らわす。
最悪の気分で起床。シャワーを浴びる前に羽毛布団を片して薄い掛け布団に替える。この作業が思ったよりもたいへんで、シャワーを浴びる前で良かったがただでさえ不快だったのにどんどんべちゃべちゃになってげっそりする。『フリーバッグ』のシーズン2を観終える。なんていい作品なんだろう。今日みたいな日にぴったりくるというか、どんな最悪な気分でもユーモアを忘れないというか忘れることができないようなあり方に救われるようだった。すでにもう一回観たい。全てのキャラクターが最低で、性格が悪くて、それでもまるきりの悪人というのはいなくて、その描き方が絶妙だった。
昼寝の後は気付けに泣くほど怖い映画観ながら作業しようと『死霊館』の一作目と二作目を流す。とても面白かった。なかよし夫妻が頑張る話で、ほっこり。出てくる人たちがみんな優しくていい人ばかりで、酷い目に遭うとつらい気持ちになる。いいホラー映画だった。欧米のホラーはちゃんとお終いまで見ると爽やかだったり楽しかったりするから偉いなあと思う。
でも泣くほど怖いかと言うとそうでもなかったし、今日は最悪の気分だからとことん最悪になろうと思って観たのに爽やかになってしまったから、浄化されないままの最悪の気分があるままの夜だ。なんで湿気のある国に生まれてしまったんだろう。なにもいいことがない。