雪平鍋!
同居人に今晩の献立リクエストを訊かれて元気よくそう応えた。同居人は戸惑い、えらく具体的だがそれは料理ではない、と奥さんも困惑していた。そう、みぞれ鍋の間違いだった。
それでもいつものようにまたおしゃれして遊び尽き眠るだろう(それがお前のよくないところ)
奥さんとデートのため家から出るとポストに文學界の茶封筒が入っている!思わず封筒を持って出かける。今日は谷中から上野への散歩の予定だった。電車の中では『ゾンビ最強完全ガイド』を読んでいた。千駄木だか根津で降りて、いつもひるねこBOOKS さんのリツイートで気になっていたclasico から始める。ASEEDONCLOUD のジャケットが欲しくて、試着してみるととびきり僕によく似合うので買うことにした。新しく来る眼鏡とも相性がよさそう。ちょうどズボンも入荷したところということで、うっかりセットアップで購入。散財。もうすぐ人前でしゃべる予定もあるし、おしゃれにお金を使うのもいいかーと自分に許しがちだ。収支計算をしてしまえばお話にならないレベルで赤なのだが、そもそもイベントで稼ごうと思っていないし、楽しい予定をもっと楽しくするためにも存分におめかしするのはとても気分がいい。ひるねこBOOKS さんは移転してますます感じが良さそうだったけれど、荷物も多いし店内も人がたくさんいたので今回はパス。また来よう。ウサギノネドコを冷やかして雲丹が可愛い。COUZT CAFE で昼食。オーダー後、文學界の開封。ほんとに表紙に名前が載っている! 対談もしっかり載っている! 奥さんに写真を撮ってもらったが我ながら嬉しそうな顔をしている。せっかく背景がおしゃれだし、と単体での写真も何枚か撮る。インスタとツイート。
外に出るとずいぶん気持ちのいい天気だった。降られるかもと思っていたけれどどんどこ晴れていく。いちど夕焼けだんだんのほうまで出て、谷中霊園から藝大を通って上野公園へと歩いていく。お気に入りのコースだった。谷中の空き地でお芝居をしたのが奥さんとの関係が変容するきっかけでもあったから、二人にとって谷中のあたりはなんだかいつ来てもいい感じにあれる場所だった。当日券で余裕そうだったので聖林寺十一面観音像を見ることにするが、乃木坂のアイドルの子達のなにがしかが始まっているようでチケット売り場の混雑は相当なものだった。行列の待ち時間にネロちゃまの絆レベルが11になった。中に入ってしまえば展示自体は余裕たっぷりで贅沢に鑑賞ができた。入った瞬間に鳥肌が立って、わあ、これは、と感じ入る。ぐるぐると何周もして、距離をとったり詰めたりしながら満足するまで眺めた。奥さんとこのガラスは一体幾らするんだろうねえ! と感心した。すごい透明度で、まったくこちらを反射しない。鏡に映らない吸血鬼の気分、と奥さんは愉快そう。常設の刀剣と、狂言の面をひやかして、刀剣の手前の鋳金のところにある蟷螂や亀がとても可愛くて二人ではしゃいだ。
上野の公園に一番近い駅が綺麗になっていて、二階部分が竜の化石みたいな感じになっていたのでちょっと冷やかしてみると、端っこは行き止まりで、そばの階段で階下に降りても車のUターンのためだけのスペースを囲むようにおざなりに作られた歩行者用の道はこれもまた行き止まりなので、結局もともとエスカレーターを上がった駅の正面まで戻っていかなくてはいけない。なんなの、ここに階段作った人はなんのつもり? と二人でブウブウ文句を言う。丸井のフランフランに奥さんのお買い物についていって、目当てのものはなかったらしい。駅中のみはしであんみつを食べて、満足して帰る。ゆっくりお風呂に浸かって、夕食は雪平鍋。本当は土鍋でみぞれ鍋だった。さすがにまだ鍋は暑い。室内の湿気がものすごいことになった。おいしかったので満足。