朝起きると寝る時につけていたはずの耳栓が見事になくなっていた。Slack に「柿内正午」ないし「プルーストを読む生活」が含まれるツイートは連携されるようにIFTTT を設定しているのだけれど、保坂さんがまたしても嬉しいことを書いてくださっていた。僕は保坂さんなら大丈夫だ、というような無謀さで暴投に近い投げっぱなしの言葉をいくつも放ったはずだし、だからこそ脱線と拡散に満ちた豊かな対談になったと思う。今日も読み返して、なんの話をしているんだろう、と所々訝しがりながらも確かにプルーストの話でもあるようで、我ながら面白いものになっていると思う。対談だと、相手があってこそのものだからいつも以上に自信を持ってこれはいいものですよと言える。これはいいものですよ。
リレーエッセイも素敵で、岩波の一巻ずつを各々が読んで自由に書くと言うスタイルは言ってしまえばコンセプトからして「プロ版・プルーストを読む生活」といった趣で、多くの方の書き方というか方法論や着眼点に、ああ、そのとっかかりはよく知っていますよ、とニンマリするような愉快さもあった。あれだけ奔放な対談ともちゃんと共鳴するようなエッセイも沢山あって、嬉しくなる。特に町屋良平さん、藤原無雨さん、山崎ナオコーラさん、小川公代さんの文章との共鳴がいい具合なんじゃないかな、と感じる。
きょうは昼前に宅急便が来て、なんともう眼鏡が届いた! 嬉しくってすぐに開けてかけて奥さんに何枚も写真に撮ってもらう。全ての写真がニッコニコで、普段の着用イメージを推し量るには不適だったが、嬉しそうだなあとまた嬉しくなれるのでいい。肌寒かったので昨日買ったジャケットをさっそく羽織ってやっぱり眼鏡とよく似合う。ジョージ・A・ロメロとお揃いだ。と言うわけで今日は作業中のお供に『サバイバル・オブ・ザ・デッド』と『ランド・オブ・ザ・デッド』を続けて観る。前者の方が好み、西部劇への愛着がぞんぶんに溢れていて楽しい。あとロメロは予算が限られてるほうが活き活きしてる感じがする。制約が創作をブーストするような。勝手な印象。
『チャパーエフと空虚』は最後の方はゲラゲラ笑いながら読み終え、『ゾンビ最強完全ガイド』は最後までずっと面白かった。第七章でようやくロメロに辿り着き、辿り着いた時のヤッター! という気持ちの盛り上がりはすごかった。一日に二冊終えるのはなんだか久しぶりな気もする。今日からは『ゾンビの小哲学』。
夕食後『ランド・オブ・ザ・デッド』のボスゾンビの物真似をしていたら奥さんにめっぽうウケた。なんだか今日はごつい眼鏡かけてジャケット着てふんぞり返ってたからちゃんと愉快な人で安心する、と奥さんは言う。そうか、ふんぞり返って見えたのか。僕はジャケットを着ると姿勢がシャンとするようで最近はひどい姿勢で椅子に腰掛けていたからようやくちゃんと座れるようになったな、と思っていたのだけど、家の中でジャケット着てシャンとしてるのは威圧感が出てしまうらしい。そう聞いて奥さんはそうかジャケットはブラジャーなんだねえとなにか納得したようだった。奥さんはこの生活の中で、部屋着と寝巻きを分けるのはブラジャーなのだと言う。ナイトブラからシャンとしたブラジャーに付け替えることで切り替わる気分。なるほど、確かに僕のブラジャーはジャケットだ。